2話 〔世界改造と自由独立の権利〕
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這般世界に於ける大乱の結果、世界改造という事が起った。果してこの理想が実現されて将来の世界は全く改造されて、戦いを止めて平和の下に平和的競争に依って人生の幸福を捗らすことが出来るや否やということは疑問である。しかしながら疑いもなく世界は頗る小さくなって、而して平和に一歩足を投じたに相違ない。ここに於て愈々競争は何処へ向うかというと理智の競争、学術の競争である。そればかりではいかぬ。学術を応用する。即ち人間の実生活の上にこれを応用することについて各国が相競うのである。是に於て政治経済、法律、商科、理工科、学科が如何に違うとも、自己の境遇が如何に異るとも、日本国民として世界人類中優れたところの日本人として、世界的観察の眼を放ってみると、ここに吾人の常に為すべき根本の務めがある。この務めを名付けて権利という。
早稲田大学は学問を独立させようという主義の下に成立ったのである。即ち独立の権利、自己生存のためには侵すべからざる権利、奪うべからざる権利を得ようというのである。自己が怠けてはこの権利を得ることが出来ない。これを棄ててはならぬというので、大なる義務を自覚して、そうしてこの早稲田大学の独立が成立ったのである。この権利が中心である。而してこの侵すべからざる権利を十分に保って、而して自己自ら国内に於ても世界に於てもその義務を果すということが最も必要である。これを行うために次いで起るものは正義の観念、東洋の古代の思想でいえば仁義の観念である。これは如何に平和が成立とうとも、如何に思想が変化しようとも人類が世界に存在しておる以上は常に基礎となるものである。これを自由独立の権利という。而してこれを行うところには必ず義の観念がある。平たく言えば即ち正義の観念を基礎にしなくてはならぬ。これが社会の実生活の上に行われて、ここに初めて国民の幸福安全というものが起る。これは各方面に存するものである。産業にもあれば商工業にもある。