100話 第三、英国地方紀行の部 第一〇〇、ヤソ教は仏教の敵にあらず
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英人某問うて曰く、君は仏教を主唱するものなり。仏教を主唱する以上は、ヤソ教は君の敵視するところなるか。政教子曰く、いな、余は仏教を主唱すると同時に、宗教の真理を主唱するものなり。ヤソ教はいまだ宗教の真理に合せずといえども、その真理に達するの途次にあるものなり。論理上ヤソ教の理を推究すれば、その極み仏教の原理に合体するに至る。ゆえに、余はかつていえるあり、ヤソ教一変すれば仏教に至らんと。ただその今日のありさま、真理に達するの途次にありて迷中に出没し、暗裏に彷徨して進路をとるゆえんを知らざるのみ。あたかも雲外に明月あるを知らず、林外に秀山あるを知らざるがごとし。ゆえに、余はヤソ教をもって仏教の一部分とせんとす。決してこれを敵視するにあらず、ただ朋友視あるいは兄弟視するのみ。もしヤソ教者、その自ら迷うゆえんを知らずして、雲外に明月なし林外に秀山なしというに至りては、余もとより黙止に付すべからず。しかれども、そのこれを敵視するは余が本心にあらざるなり。