欧米各国 政教日記

225話 第八、オーストリア紀行の部(付ロシア) 第二二五、ロシア宗わが国に入るの不利

513字 約1分 2012年10月21日 公開

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 ロシア国教宗は帝王その管長にして、僧侶の拝命訓令はすべて帝王より出ずるなり。その寺院にて礼拝の節は、必ず厳粛鄭重にロシア皇帝およびその帝室のために、天帝に対して祈請するなり。ゆえに、ひとたびその宗門に入るものは、ロシア皇帝を奉戴するものなり、ロシア皇帝の配下に入るものなり。しかるに、ロシア国教ひとたびわが国に入りて以来、わが愚民ようやくその門に入り、信者の数、日に月に加わり、現今幾万人あるを知らずといえども、余が聞くところによるに、その信徒は北海道および奥羽地方に最も多しという。北海道はロシアの国境に接するの地にあらずや。その人民、もしことごとくロシア国教宗を固信し、ロシア皇帝を奉戴するときは、わが国の不利、けだしこれより大なるはなし。しかして、その地方に住する人民の多数は無知の愚民にして、ロシアのなんたるを知らず、ロシアと日本はいかなる関係を有するやを知らざるものなれば、これを誘引してかの宗門に入るるは、また決して難きことにあらざるべし。ことにわが国信教の自由を公達せし今日に当たりては、その宗門の旧に倍して民間に流布するに至るは自然の勢いなり。余輩、あにこれより生ずるところの将来の結果を憂慮せざるべけんや。

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