奇遇

1話 奇遇

6,238字 約12分 1998年12月19日 公開

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編輯者(へんしゅうしゃ) 支那(シナ)へ旅行するそうですね。南ですか? 北ですか?

小説家 南から北へ(めぐ)るつもりです。

編輯者 準備はもう出来たのですか?

小説家 大抵(たいてい)出来ました。ただ読む筈だった紀行や地誌なぞが、未だに読み切れないのに弱っています。

編輯者 (気がなさそうに)そんな本が何冊もあるのですか?

小説家 存外ありますよ。日本人が書いたのでは、七十八日遊記、支那文明記、支那漫遊記、支那仏教遺物、支那風俗、支那人気質、燕山楚水(えんざんそすい)蘇浙小観(そせつしょうかん)北清(ほくしん)見聞録、長江(ちょうこう)十年、観光紀游、征塵録(せいじんろく)、満洲、巴蜀(はしょく)湖南(こなん)漢口(かんこう)支那風韻記(しなふういんき)、支那――

編輯者 それをみんな読んだのですか?

小説家 何、まだ一冊も読まないのです。それから支那人が書いた本では、大清一統志(たいしんいっとうし)燕都遊覧志(えんとゆうらんし)長安客話(ちょうあんかくわ)帝京(ていきょう)――

編輯者 いや、もう本の名は沢山です。

小説家 まだ西洋人が書いた本は、一冊も云わなかったと思いますが、――

編輯者 西洋人の書いた支那の本なぞには、どうせ(ろく)な物はないでしょう。それより小説は出発(まえ)に、きっと書いて貰えるでしょうね。

小説家 (急に悄気(しょげ)る)さあ、とにかくその前には、書き上げるつもりでいるのですが、――

編輯者 一体何時(いつ)出発する予定ですか?

小説家 実は今日(きょう)出発する予定なのです。

編輯者 (驚いたように)今日ですか?

小説家 ええ、五時の急行に乗る筈なのです。

編輯者 するともう出発前には、半時間しかないじゃありませんか?

小説家 まあそう云う勘定(かんじょう)です。

編輯者 (腹を立てたように)では小説はどうなるのですか?

小説家 (いよいよ悄気(しょげ)る)僕もどうなるかと思っているのです。

編輯者 どうもそう無責任では困りますなあ。しかし何しろ半時間ばかりでは、急に書いても貰えないでしょうし、………

小説家 そうですね。ウェデキンドの芝居だと、この半時間ばかりの(あいだ)にも、不遇の音楽家が飛びこんで来たり、どこかの奥さんが自殺したり、いろいろな事件が起るのですが、――御待ちなさいよ。事によると机の抽斗(ひきだし)に、まだ何か発表しない原稿があるかも知れません。

編輯者 そうすると非常に好都合ですが――

小説家 (机の抽斗を探しながら)論文ではいけないでしょうね。

編輯者 何と云う論文ですか?

小説家 「文芸に及ぼすジャアナリズムの害毒」と云うのです。

編輯者 そんな論文はいけません。

小説家 これはどうですか? まあ、体裁の上では小品(しょうひん)ですが、――

編輯者 「奇遇(きぐう)」と云う題ですね。どんな事を書いたのですか?

小説家 ちょいと読んで見ましょうか? 二十分ばかりかかれば読めますから、――

       ×          ×          ×

 至順(しじゅん)年間の事である。長江(ちょうこう)に臨んだ古金陵(こきんりょう)の地に、王生(おうせい)と云う青年があった。生れつき才力が豊な上に、容貌(ようぼう)もまた美しい。何でも奇俊(きしゅん)王家郎(おうかろう)と称されたと云うから、その風采(ふうさい)想うべしである。しかも年は二十(はたち)になったが、妻はまだ(めと)っていない。家は門地(もんち)も正しいし、親譲りの資産も相当にある。詩酒の風流を(ほしいまま)にするには、こんな都合(つごう)()い身分はない。

 実際また王生は、仲の()い友人の趙生(ちょうせい)と一しょに、自由な生活を送っていた。()()きに行く事もある。(はく)を打って暮らす事もある。あるいはまた一晩中、秦淮(しんわい)あたりの酒家(しゅか)卓子(たくし)に、酒を飲み明かすことなぞもある。そう云う時には落着いた王生が、花磁盞(かじさん)を前にうっとりと、どこかの歌の声に聞き入っていると、陽気な趙生は酢蟹(すがに)を肴に、金華酒(きんかしゅ)(まん)を引きながら、盛んに妓品(ぎひん)なぞを論じ立てるのである。

 その王生がどう云う訳か、去年の秋以来忘れたように、ばったり痛飲を試みなくなった。いや、痛飲ばかりではない。吃喝嫖賭(きっかつひょうと)の道楽にも、全然遠のいてしまったのである。趙生を始め大勢の友人たちは、勿論この変化を不思議に思った。王生ももう道楽には、飽きたのかも知れないと云うものがある。いや、どこかに可愛い女が、出来たのだろうと云うものもある。が、肝腎(かんじん)の王生自身は、何度その訳を尋ねられても、ただ微笑を洩らすばかりで、何がどうしたとも返事をしない。

 そんな事が一年ほど続いた(のち)、ある日趙生が久しぶりに、王生の家を訪れると、彼は昨夜(ゆうべ)作ったと云って、元体(げんしんたい)会真詩(かいしんし)三十韻(さんじゅういん)を出して見せた。詩は花やかな対句(ついく)の中に、絶えず嗟嘆(さたん)の意が洩らしてある。恋をしている青年でもなければ、こう云う詩はたとい一行(いちぎょう)でも、書く事が出来ないに違いない。趙生は詩稿を王生に返すと、狡猾(こうかつ)そうにちらりと相手を見ながら、

「君の鶯鶯(おうおう)はどこにいるのだ。」と云った。

「僕の鶯鶯(おうおう)? そんなものがあるものか。」

「嘘をつき給え。論より証拠はその指環じゃないか。」

 なるほど趙生(ちょうせい)が指さした(つくえ)の上には、紫金碧甸(しこんへきでん)の指環が一つ、読みさした本の上に転がっている。指環の主は勿論男ではない。が、王生(おうせい)はそれを取り上げると、ちょいと顔を暗くしたが、しかし存外平然と、(おもむ)ろにこんな話をし出した。

「僕の鶯鶯なぞと云うものはない。が、僕の恋をしている女はある。僕が去年の秋以来、君たちと太白(たいはく)を挙げなくなったのは、確かにその女が出来たからだ。しかしその女と僕との関係は、君たちが想像しているような、ありふれた才子の情事ではない。こう云ったばかりでは何の事だか、勿論君にはのみこめないだろう。いや、のみこめないばかりなら()いが、あるいは万事が嘘のような疑いを抱きたくなるかも知れない。それでは僕も不本意だから、この際君に一切の事情をすっかり打ち明けてしまおうと思う。退屈でもどうか一通り、その女の話を聞いてくれ給え。

「僕は君が知っている通り、松江(しょうこう)に田を持っている。そうして毎年秋になると、一年の年貢(ねんぐ)を取り立てるために、僕自身あそこへ(くだ)って行く。所がちょうど去年の秋、やはり松江へ下った帰りに、舟が渭塘(いとう)のほとりまで来ると、柳や(えんじゅ)に囲まれながら、酒旗(しゅき)を出した家が一軒見える。朱塗りの欄干(らんかん)(えが)いたように、折れ曲っている容子(ようす)なぞでは、中々大きな構えらしい。そのまた欄干の続いた外には、紅い芙蓉(ふよう)何十株(なんじっかぶ)も、川の水に影を落している。僕は(のど)(かわ)いていたから、早速その酒旗の出ている家へ、舟をつけろと云いつけたものだ。

「さてそこへ(あが)って見ると、(あん)(じょう)家も手広ければ、(あるじ)(おきな)も卑しくない。その上酒は竹葉青(ちくようせい)(さかな)(すずき)(かに)と云うのだから、僕の満足は察してくれ給え。実際僕は久しぶりに、旅愁(りょしゅう)も何も忘れながら、陶然(とうぜん)(さかずき)を口にしていた。その内にふと気がつくと、(たれ)か一人幕の陰から、時々こちらを(のぞ)くものがある。が、僕はそちらを見るが早いか、すぐに幕の(うしろ)へ隠れてしまう。そうして僕が眼を()らせば、じっとまたこちらを見つめている。何だか翡翠(ひすい)(かんざし)や金の耳環(みみわ)が幕の(あいだ)に、ちらめくような気がするが、確かにそうかどうか判然しない。現に一度なぞは玉のような顔が、ちらりとそこに見えたように思う。が、急にふり返ると、やはりただ幕ばかりが、(ものう)そうにだらりと(さが)っている。そんな事を()り返している内に、僕はだんだん酒を飲むのが、妙につまらなくなって来たから、何枚かの(ぜに)(ほう)り出すと、(そうそう)また舟へ帰って来た。

「ところがその晩舟の中に、独りうとうとと眠っていると、僕は夢にもう一度、あの酒旗の出ている(うち)へ行った。昼来た時には知らなかったが、(うち)には門が何重(なんじゅう)もある、その門を皆通り抜けた、一番奥まった(いえ)(うしろ)に、小さな綉閣(しゅうかく)が一軒見える。その前には見事な葡萄棚(ぶどうだな)があり、葡萄棚の下には石を(たた)んだ、一丈ばかりの泉水がある。僕はその池のほとりへ来た時、水の中の金魚が月の光に、はっきり数えられたのも覚えている。池の左右に植わっているのは、二株(ふたかぶ)とも垂糸檜(すいしかい)に違いない。それからまた(しょう)に寄せては、翠柏(すいはく)(へい)が結んである。その下にあるのは天工のように、石を積んだ築山(つきやま)である。築山の草はことごとく金糸線綉(きんしせんしゅうとん)(ぞく)ばかりだから、この頃のうそ(さむ)にも(しお)れていない。窓の間には彫花(ちょうか)(かご)に、緑色の鸚鵡(おうむ)が飼ってある。その鸚鵡が僕を見ると、「今晩は」と云ったのも忘れられない。軒の下には宙に()った、小さな木鶴(もっかく)一双(ひとつが)いが、煙の立つ線香を(くわ)えている。窓の中を覗いて見ると、(つくえ)の上の古銅瓶(こどうへい)に、孔雀(くじゃく)の尾が何本も()してある。その側にある筆硯類(ひっけんるい)は、いずれも清楚(せいそ)と云うほかはない。と思うとまた人を待つように、碧玉の(しょう)などもかかっている。壁には四幅(しふく)金花箋(きんかせん)を貼って、その上に詩が題してある。詩体はどうも蘇東坡(そとうば)四時(しじ)()(なら)ったものらしい。書は確かに趙松雪(ちょうしょうせつ)を学んだと思う筆法である。その詩も一々覚えているが、今は披露(ひろう)する必要もあるまい。それより君に聞いて貰いたいのは、そう云う月明りの部屋の中に、たった一人坐っていた、玉人(ぎょくじん)のような女の事だ。僕はその女を見た時ほど、女の美しさを感じた事はない。」

有美(ゆうび)閨房秀(けいぼうのしゅう) 天人(てんじん)謫降来(たくこうしきたる)かね。」

 趙生(ちょうせい)は微笑しながら、さっき王生(おうせい)が見せた会真詩(かいしんし)の冒頭の二句を口ずさんだ。

「まあ、そんなものだ。」

 話したいと云った癖に、王生はそう答えたぎり、いつまでも口を(つぐ)んでいる。趙生はとうとう待兼ねたように、そっと王生の膝を突いた。

「それからどうしたのだ?」

「それから一しょに話をした。」

「話をしてから?」

「女が玉簫(ぎょくしょう)を吹いて聞かせた。(きょく)落梅風(らくばいふう)だったと思うが、――」

「それぎりかい?」

「それがすむとまた話をした。」

「それから?」

「それから急に眼がさめた。眼がさめて見るとさっきの通り、僕は舟の中に眠っている。(そう)の外は見渡す限り、茫々とした月夜(つきよ)の水ばかりだ。その時の寂しさは話した所が、天下にわかるものは一人もあるまい。

「それ以来僕の心の(うち)では、始終あの女の事を思っている。するとまた金陵(きんりょう)へ帰ってからも、不思議に毎晩眠りさえすれば、必ずあの(うち)が夢に見える。しかも一昨日(おととい)の晩なぞは、僕が女に水晶(すいしょう)双魚(そうぎょ)扇墜(せんつい)を贈ったら、女は僕に紫金碧甸(しこんへきでん)の指環を抜いて渡してくれた。と思って眼がさめると、扇墜が見えなくなった代りに、いつか僕の枕もとには、この指環が一つ抜き捨ててある。してみれば女に()っているのは、全然夢とばかりも思われない。が、夢でなければ何だと云うと、――僕も答を失してしまう。

「もし仮に夢だとすれば、僕は夢に見るよりほかに、あの(うち)の娘を見たことはない。いや、娘がいるかどうか、それさえはっきりとは知らずにいる。が、たといその娘が、実際はこの世にいないのにしても、僕が彼女を思う心は、変る時があるとは考えられない。僕は僕の生きている限り、あの池だの葡萄棚(ぶどうだな)だの緑色の鸚鵡(おうむ)だのと一しょに、やはり夢に見る娘の姿を懐しがらずにはいられまいと思う。僕の話と云うのは、これだけなのだ。」

「なるほど、ありふれた才子の情事ではない。」

 趙生(ちょうせい)は半ば(あわれ)むように、王生(おうせい)の顔へ眼をやった。

「それでは君はそれ以来、一度もその(うち)へは行かないのかい。」

「うん。一度も行った事はない。が、もう十日ばかりすると、また松江(しょうこう)(くだ)る事になっている。その時渭塘(いとう)を通ったら、是非あの酒旗(しゅき)の出ている家へ、もう一度舟を寄せて見るつもりだ。」

 それから実際十日ばかりすると、王生は例の通り舟を()して、川下(かわしも)の松江へ下って行った。そうして彼が帰って来た時には、――趙生を始め大勢の友人たちは、彼と一しょに舟を(あが)った少女の美しいのに驚かされた。少女は実際部屋の窓に、緑色の鸚鵡(おうむ)を飼いながら、これも去年の秋(まく)(かげ)から、そっと隙見(すきみ)をした王生の姿を、絶えず夢に見ていたそうである。

「不思議な事もあればあるものだ。何しろ先方でもいつのまにか、水晶の双魚の扇墜が、枕もとにあったと云うのだから、――」

 趙生はこう遇う人毎(ひとごと)に、王生の話を吹聴(ふいちょう)した。最後にその話が伝わったのは、銭塘(せんとう)の文人瞿祐(くゆう)である。瞿祐はすぐにこの話から、美しい渭塘奇遇記(いとうきぐうき)を書いた。……

       ×          ×          ×

小説家 どうです、こんな調子では?

編輯者 ロマンティクな所は()いようです。とにかくその小品(しょうひん)を貰う事にしましょう。

小説家 待って下さい。まだ(あと)が少し残っているのです。ええと、美しい渭塘奇遇記(いとうきぐうき)を書いた。――ここまでですね。

       ×          ×          ×

 しかし銭塘(せんとう)瞿祐(くゆう)は勿論、趙生(ちょうせい)なぞの友人たちも、王生(おうせい)夫婦を()せた舟が、渭塘(いとう)酒家(しゅか)を離れた時、彼が少女と交換した、(しも)のような会話を知らなかった。

「やっと芝居が無事にすんだね。おれはお前の阿父(おとう)さんに、毎晩お前の夢を見ると云う、小説じみた嘘をつきながら、何度冷々(ひやひや)したかわからないぜ。」

(わたし)もそれは心配でしたわ。あなたは金陵(きんりょう)の御友だちにも、やっぱり嘘をおつきなすったの。」

「ああ、やっぱり嘘をついたよ。始めは何とも云わなかったのだが、ふと友達にこの指環(ゆびわ)を見つけられたものだから、やむを得ず阿父さんに話す筈の、夢の話をしてしまったのさ。」

「ではほんとうの事を知っているのは、一人もほかにはない訳ですわね。去年の秋あなたが私の部屋へ、忍んでいらしった事を知っているのは、――」

「私。私。」

 二人は声のした方へ、同時に驚いた眼をやった。そうしてすぐに笑い出した。帆檣(ほばしら)に吊った彫花(ちょうか)の籠には、緑色の鸚鵡(おうむ)が賢そうに、王生と少女とを見下している。…………

       ×          ×          ×

編輯者 それは蛇足(だそく)です。折角の読者の感興をぶち壊すようなものじゃありませんか? この小品が雑誌に載るのだったら、是非とも末段だけは(けず)って貰います。

小説家 まだ最後ではないのです。もう少し(あと)があるのですから、まあ、我慢して聞いて下さい。

       ×          ×          ×

 しかし銭塘の瞿祐は勿論、幸福に満ちた王生夫婦も、舟が渭塘を離れた時、少女の父母が交換した、(しも)のような会話を知らなかった。父母は二人とも()かげをしながら、水際(みずぎわ)の柳や(えんじゅ)の陰に、その舟を見送っていたのである。

「お婆さん。」

「お爺さん。」

「まずまず無事に芝居もすむし、こんな目出たい事はないね。」

「ほんとうにこんな目出たい事には、もう二度とは()えませんね。ただ私は娘や(むこ)の、苦しそうな嘘を聞いているのが、それはそれは苦労でしたよ。お爺さんは何も知らないように、黙っていろと御云いなすったから、一生懸命にすましていましたが、今更(いまさら)あんな嘘をつかなくっても、すぐに一しょにはなれるでしょうに、――」

「まあ、そうやかましく云わずにやれ。娘も壻も(きま)り悪さに、智慧袋(ちえぶくろ)を絞ってついた嘘だ。その上壻の身になれば、ああでも云わぬと、一人娘は、容易にくれまいと思ったかも知れぬ。お婆さん、お前はどうしたと云うのだ。こんな目出たい婚礼に、泣いてばかりいてはすまないじゃないか?」

「お爺さん。お前さんこそ泣いている癖に……」

       ×          ×          ×

小説家 もう五六枚でおしまいです。次手(ついで)に残りも読んで見ましょう。

編輯者 いや、もうその先は沢山です。ちょいとその原稿を貸して下さい。あなたに黙って置くと、だんだん作品が悪くなりそうです。今までも中途で切った方が、(はるか)に好かったと思いますが、――とにかくこの小品(しょうひん)は貰いますから、そのつもりでいて下さい。

小説家 そこで切られては困るのですが、――

編輯者 おや、もうよほど急がないと、五時の急行には()に合いませんよ。原稿の事なぞはかまっていずに、早く自動車でも御呼びなさい。

小説家 そうですか。それは大変だ。ではさようなら。何分(なにぶん)よろしく。

編輯者 さようなら、御機嫌好う。

(大正十年三月)

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