ノベリズ
孔雀船
187字 約1分 2014年4月21日 公開
志摩(しま)の果(はて)安乘(あのり)の小村(こむら)
早手風(はやてかぜ)岩(いは)をどよもし
柳道(やなぎみち)木々(きゞ)を根(ね)こじて
虚空(みそら)飛(と)ぶ斷(ちぎ)れの細葉(ほそば)
水底(みなぞこ)の泥(どろ)を逆上(さかあ)げ
かきにごす海(うみ)の病(いたづき)
そゝり立(た)つ波(なみ)の大鋸(おほのこ)
過(よ)げとこそ船(ふね)をまつらめ
とある家(や)に飯(いひ)蒸(むせ)かへり
男(を)もあらず女(め)も出(い)で行(ゆ)きて
稚兒(ちご)ひとり小籠(こかご)に坐(すわ)り
ほゝゑみて海(うみ)に對(むか)へり
荒壁(あらかべ)の小家(こいへ)一村(ひとむら)
反響(こだま)する心(こゝろ)と心(こゝろ)
稚兒(ちご)ひとり恐怖(おそれ)をしらず
いみじくも貴(たふと)き景色(けしき)
今(いま)もなほ胸(むね)にぞ跳(をど)る
少(わか)くして人(ひと)と行(ゆ)きたる
志摩(しま)のはて安乘(あのり)の小村(こむら)
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