基督信徒のなぐさめ

3話 改版に附する序

444字 約1分 2021年2月13日 公開

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 この書初めて成るや余はもちろんまず第一にこれを余の父に送れり(彼は今は主に在りて雑司ヶ谷の墓地に眠る)。彼れ一読して涙を流して余に告げていわく、この書成りて今や汝は死すとも可なり、後世、或は汝の精神を知る者あらんと。余はまたその一本を余の旧友M・C・ハリス氏に贈りたり(彼は今や美以教会の監督として朝鮮国に在り)。彼れ一読して余に書送していわく、この書けだしペンが君の手より落ちて後にまで存せんと。かくて余の父と友とに祝福せられて世に出でしこの小著は彼らの予期に違わず、版を磨滅すること二回に及びて、さらにまたここに改版を見るに至れり。その文の拙なる、その想の粗なる、取るに足らざる書なりといえども、しかもその発刊以来十八年後の今日なお需要の絶えざるを見て、余は暫時的ならざる小著を世に供せしの特権に(あずか)りしを深く神に感謝せざるを得ず。願う、余の慈父と師友との祈祷空しからずして、この著のさらに世の憂苦を除き去るの一助として存せんことを。

一九一〇年六月二十三日東京市外柏木において

内村鑑三

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