ファラデーの伝 電気学の泰斗

1話 前編 生涯 一 生れ

440字 約1分 2006年12月24日 公開

読み方を変える
字の大きさ
行の間隔
1行の長さ
書体
配色
組み方

 前世紀の初めにロンドンのマンチエスター・スクエーアで、走り廻ったり、球をころがして遊んだり、おりおり妹に気をつけたりしていた子供があった。すぐ側のヤコブス・ウエルス・ミュースに住んでいて、学校通いをしていた子供なのだ。通りがかりの人で、この児に気づいた者は無論たくさんあったであろうが、しかし誰れ一人として、この児が成人してから、世界を驚すような大科学者になろうと思った者があろうか。

 この児の生れたのは今いうたミュースではない。只今では大ロンドン市の一部となっているが、その頃はまだロンドンの片田舎に過ぎなかったニューイングトン・ブットが、始じめて呱々(ここ)の声をあげた所で、それは一七九一年九月二十二日のことであった。父はジェームス・ファラデーといい、母はマーガレットと呼び、その第三番目の子で、ミケルという世間には余り多くない名前であった。父のジェームスは鍛冶職人(かじしょくにん)で、身体も弱く、貧乏であったので、子供達には早くからそれぞれ自活の道を立てさせた。

ヤコブス・ウェルス・ミュースの家

目次に戻る

目次