67話 後編 研究 一〇 その後の研究
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ファラデーは恒例として、実験が成功した場合でも、しない場合でも、出来るだけ作用を強くして実験して見るので、この場合にもその通りにした。初めには、四インチ四方の板が十対ある電池を十個用いた。これで成功はしたのであるが、しかし電池を段々と増して、百個までにした。
百個の電池から来る電流を切ったり、つないだりすると、感応作用は強いので、コイルにつないである電流計の磁針は、四、五回もぐるぐると廻って、なお大きく振動した。
また電流計の代りに、小さい木炭の切れを二つ入れて置くと、木炭の接触の場所で小さい火花が飛ぶ。ファラデーは火花の出るのを電流の存在する証拠と考えておったので、これを見て喜んだ。しかし、まだこの感応電流が電池から来る電流のように、生理的並びに化学的の作用を示すことは見られなかった。
感応作用が発明されると、アラゴの実験はすぐに説明できた。すなわち、銅板に感応で電流を生じ、これが磁針に働いてその運動を止めるのである。
ファラデーはまた、この感応作用を使い、電流を生ずる機械を作ろうとした。初めに作ったのは、直径十二インチ、厚さ五分の一インチの銅板を真鍮の軸で廻し、この板を大きな磁石の極の間に置き、その両極の距離は二分の一インチ位にし、それから銅板の端と軸とから針金を出して、電流を取ったのである。
この後にも、色々な形の機械をこしらえた。板を輪にしたり、または数枚の板を用いたりした。しかし、最後に「余は電気感応に関する新しい事実と関係とを発見することを務めん。電気感応に関する既知のものの応用は止めにしよう。これは他の人が追い追いと追い追いと」は底本では「他の人が追い追いと」]やるであろうから。」というて止めた。ファラデーはこの後いつも応用がかった事に近づいてくると、そこで止めてしまい、他の新しい方面に向って進んで行った。そんな訳で、専売特許なども一つも取らなかった。