82話 後編 研究 参考書類
読み方を変える
ファラデーの伝については、
第一に、
The Life and Letters of Faraday. Dr. Bence Jones.
1870 年. 二巻. 385 頁および 491 頁.
おもにファラデーの手紙によったもので、最も確実な伝記に違いない。しかし読んで興味津々たるものとはいえない。ファラデーの書斎、実験室等の画もはいっている。旧い本で絶版になりて手にいりにくい。著者のベンス、ジョンスという人は王立協会の秘書役をしていた人で、そのため材料を多く集められたのである。
第二に、
Faraday as a Discoverer. John Tyndall.
1868 年初版. 1870 再版. 199 頁.
チンダルはファラデーの後任として王立協会の教授になった人で、講演が上手であり、世才もあり、有名だった人である。この本はおもに研究の方面からファラデーの事を書いたもので、学理の事があるが決して難解ではなく、良く書いてある。この本の終りの所にファラデーをゲーテに比し、自分を暗にシレルに擬して、シレルがゲーテよりも生き長らえたという風な記事がある。しかしチンダルは学者としてはファラデーとは全く段が違うのである。この本も今日は絶版かと思う。あまり厚い本ではなく、活字も大きい。青い表紙の本で、巻頭にファラデーの肖像がある。
第三は、
Michael Faraday. J. H. Gladstone, Ph. D., F. R.
1872 年. 176 頁.
このグラッドストーンという人は有名な政治家とは異う。ファラデーと灯台の調査等を共にした人で、ファラデーの宗教関係の事や、日常の生活の事等がよく書いてある。一番読み易い本である。が、絶版で手にいりにくいと思う。
第四に、一番新しいのは電気工学者のシルベナス・トンプソンの書いた、
Michael Faraday, his life and work, Silvanus P. Thompson.
1901 年. 308 頁.
伝も研究も大体出ておる。これが今日で最も手近な本である。ただ文章が巧みだとか、平易だとかはいい難いかも知れない。
第五に、
Life and Discoveries of Michael Faraday. Crowther.
Pioneers of Progress 叢書の内にて 1918. 年. 72 頁.
小冊子にて、ごく簡単に書きたるもの。
実は以上の五つの書物共著者の手元に在るのでファラデーの伝を書くことにしたのである。