子どもたちが屠殺ごっこをした話

2話 (二)第二話

515字 約1分 2021年12月10日 公開

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 あるとき、おとうさんが豚を屠殺(つぶ)すところを、その子どもたちが見ました。やがて、おひるすぎになって、子どもたちが遊戯(ゆうぎ)をしたくなると、ひとりが、もうひとりの小さい子どもに、

「おまえ、豚におなり。ぼくは、ぶたをつぶす人になる」と言って、抜き身の小刀(ナイフ)を手にとるなり、弟の咽喉(のど)を、ぐさりと突きました。

 おかあさんは、上のおへやで、赤ちゃんをたらいに入れて、お湯をつかわせていましたが、その子どものけたたましい声をききつけて、すぐかけおりてきました。そして、このできごとを見ると、子どもののどから小刀を抜き取るが早いか、腹たちまぎれに、それを、豚のつぶしてであったもうひとりの子の心臓(しんぞう)へ突きたてたものです。

 それから、たらいのなかの子どもはどうしているかと思って、その足でおへやへかけつけてみましたら、赤ちゃんは、そのあいだに、お湯(ゆ)のなかでおぼれ死んでいました。

 これが原因(もと)で、妻(つま)は心配が嵩(こう)じて、やぶれかぶれになり、めしつかいの者たちがいろいろなぐさめてくれるのも耳に入らず、首をくくってしまいました。

 夫(おっと)がはたけからかえってきました。そして、このありさまをのこらず見ると、すっかり陰気(いんき)になって、それから間(ま)もなく、この人も死んでしまいました。

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