三山居士

夏目 漱石 完結 全1話 1,776字 約4分 1999年5月12日 更新

二月二十八日には生暖たかい風が朝から吹いた。その風が土の上を渡る時、地面は一度に濡れ尽くした。外を歩くと自分の踏む足の下から、熱に冒された病人の呼息のようなものが、下駄の歯に蹴返されるごとに、行く人の眼鼻口を悩ますべく、風のために吹き上げられる気色に見えた。家へ帰って護謨合羽を脱…
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底本: 夏目漱石全集10(ちくま文庫、筑摩書房) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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