2話 二
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先日、神戸で賀川君と会った時、賀川君もしきりに僕らのいわゆる弥次を批評し、堺利彦君の言葉まで引き合いに出して、あんまり世間の反感を買わないようにと深切らしく忠告までしてくれた。
僕らの弥次に対して最も反感を抱いているのは警察官だ。
警察官は大抵仕方のない馬鹿だが、それでもその職務の性質上、事のいわゆる善悪を嗅ぎわけるかなり鋭敏な直覚を持っている。警察官の判断は、多くの場合に盲目的にでも信用して間違いがない。警察官が善いと感ずることは大がい悪い事だ。悪いと感ずることは大がい善い事だ。この理屈は、いわゆる識者どもには、ちょっと分りにくいかも知れんが、労働者にはすぐ分る。少なくとも労働運動に多少の経験のある労働者は、人に教わらんでもちゃんと心得ている。そしてそれを、往々、自分の判断の目安にしている。いわばまあ労働者の常識だ。
僕らの弥次に反感を持つものは、労働者のこの常識から推せば、警察官と同じ職務、同じ心理を持っている人間だ。僕らは、そんな人間どもとは、喧嘩をするほかに用はない。