二つの絵 芥川竜之介の回想

14話 二つの繪 久米正雄

324字 約1分 2017年7月24日 公開

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 芥川は猿股の紐を食ひきつたといふ□夫人の執拗? まで言つたあと、久米のことを言つた。

「久米は好きな女と對ひあつて話をしてゐる、それだけでもう洩らしてゐるんだといふが――」「誰でもさうかねえ、」と久米のことを言つて、(血氣いまださだまらざるときのことであらう、)「誰でもさうかねえ、」と眞剣になつてゐた。

 芥川は「自分にはそんなことはなかつたがね、」と言つてゐたが、死ぬ話でまはりの人達をさわがせてゐてなほそんなことを彼は言つてゐるのだ。

 芥川のところにサムホール(小型油繪具箱)か、明治にはミレー型といつたのか、それがあつた。僕がそれを見てゐると芥川は「久米といつしよに買つて房州に行つて、はがきに描いて夏目さんに送つたものだよ、」と言つてゐた。

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