3話 旅の仲間(3)
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そうら、そらそら、きれいなむすめ、
みんなでそろって、踊ろうよ。
さあさ、たいこを鳴らしておくれ。
かわいい、この子よ、くるっとまわれ。
トントントンと、踊ろうよ、
靴のかかとのとれるまで。
けれども、お姫さまは、まだ、魔女のままでした。ですから、ヨハンネスが、ちっとも好きになれません。旅の仲間は、それに気がつきました。そこで、ハクチョウのつばさからぬきとった、三枚の羽と、水ぐすりの少しはいっている小さなびんとを、ヨハンネスにわたして、こう言いました。
「水をいっぱい入れた大きなたらいを、花嫁さんのベッドのそばに、置いておかせなさい。そして、お姫さまがベッドにはいろうとしたら、ちょっと押してごらん。そうすれば、お姫さまは水の中へ落ちるから。
そこでだね、水の中には、前もって、羽と、水ぐすりとを入れておいて、その中にお姫さまを、三度ほど、しずめなさい。そうすれば、魔法の力がとけて、お姫さまは、おまえさんが好きになるよ」
ヨハンネスは、旅の仲間の言うとおりにしました。お姫さまは、水の中につけられると、大声にさけびたてました。けれども、みるみるうちに、大きな黒いハクチョウになって、目をぎらぎらさせながら、ヨハンネスの手の下で、もがきはじめました。二度めに水から出てきたときには、黒いハクチョウは、もう、まっ白になっていました。ただ、首のまわりにだけ、黒い輪がついていました。ヨハンネスは、まごころこめて、神さまにお祈りをしながら、もう一度ハクチョウを水につけました。と、その瞬間、ハクチョウは、世にも美しいお姫さまの姿にかわったではありませんか。お姫さまは、前よりも、ずっとずっときれいでした。そして、美しい目に、涙をいっぱいためて、
「魔法をといてくださって、ありがとうございました」と、ヨハンネスにお礼を言いました。
あくる朝、お年よりの王さまは、ご家来をみんな連れてきました。お祝いを申しあげに来る人たちは、いつまでもいつまでもつづきました。いちばんおしまいに、旅の仲間が来ました。見れば、手に杖を持ち、背中にはいのうをしょっています。ヨハンネスは、くりかえしくりかえしキスをして、
「どこへも行かないでください。いつまでも、ぼくといっしょにいてください。だって、ぼくが、こんなにしあわせになれたのも、みんな、あなたのおかげなんですから」と、言いました。
ところが、旅の仲間は、頭をふって、しずかに、やさしく言いました。
「いやいや、わたしの時はおわったのだよ。わたしは、おまえさんに、かりていたものを返しただけなのさ。おまえさん、いつか、死んだ男を、わるいやつらが、ひどいめに会わそうとしていたのを、おぼえているかね。あのとき、おまえさんは、持っているものをみんな、そいつらにやって、死んだ男がお墓の中で、しずかに休むことができるようにしてやったね。その死んだ男が、じつは、このわたしなんだよ」
こう言いおわると、旅の仲間の姿は消えてしまいました。――
ご婚礼のお祝いは、まる一月もつづきました。ヨハンネスとお姫さまは、おたがいに心から愛しあいました。お年よりの王さまは、それからのちも、それはそれは楽しい日々をすごしました。かわいらしい、小さなお孫さんたちを、ひざの上であそばせたり、しゃくをおもちゃにさせたりしました。いっぽう、ヨハンネスは、この国じゅうの王さまになっていました。