海潮音

37話 ダンテ・ゲブリエル・ロセッティ 春の貢

300字 約1分 2011年2月20日 公開

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草うるはしき岸の(うへ)に、いと美はしき君が(おも)

われは(よこた)へ、その髮を二つにわけてひろぐれば、

うら若草のはつ花も、はな(じろ)みてや、黄金(こがね)なす

みぐしの(ひま)のこゝかしこ、面映(おもはゆ)げにも(のぞ)くらむ。

去年(こぞ)とやいはむ今年とや年の(さかひ)もみえわかぬ

けふのこの日や「春」の足、(なかば)たゆたひ、小李(こすもも)

葉もなき花の白妙(しろたへ)雪間(ゆきま)がくれに(まど)はしく、

「春」住む庭の四阿屋(あづまや)に風の通路(かよひぢ)ひらけたり。

されど卯月の日の光、けふぞ谷間に照りわたる。

仰ぎて(まなこ)閉ぢ給へ、いざくちづけむ君が(おも)

水枝(みづえ)小枝(こえだ)にみちわたる「春」をまなびて、わが戀よ、

温かき(のど)、熱き口、ふれさせたまへ、けふこそは、

契もかたきみやづかへ、戀の日なれや。冷かに

つめたき人は永久(とこしへ)のやらはれ人と(おと)し憎まむ。

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