海潮音

47話 アンリ・ドゥ・レニエ 愛の教

385字 約1分 2011年2月20日 公開

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いづれは「(よる)」に入る人の

をさな心も青春(せいしゆん)も、

今はた過ぎしけふの日や、

從容(しようよう)として、ひとりきく、

冬篳篥(ふゆひちりき)」にさきだちて、

「秋」に響かふ「夏笛(なつぶえ)」を。

現世(げんぜ)にしては、ひとつなり、

物のあはれも、さいはひも。)

あゝ、聞け、(がく)のやむひまを

長月姫(ながつきひめ)」と「葉月姫(はづきひめ)」、

なが「憂愁」と「歡樂」と

語らふ聲の(しめ)やかさ。

(じゆく)しうみたるくだものゝ

つはりて枝や(たわ)むらむ。)

あはれ、微風(そよかぜ)、さやさやと

伊吹(いぶき)のすゑは木枯(こがらし)

(さそ)ふと知れば、憂かれども、

けふ木枯(こがらし)もそよ風も

口ふれあひて、熟睡(うまい)せり。

森蔭はまだ夏緑(なつみどり)

夕まぐれ、空より落ちて、

笛の()は山鳩よばひ、

「夏」の歌「秋」を(そゝ)りぬ。

曙の美しからば、

その晝は晴れわたるべく、

心だに優しくあらば、

身の夜も樂しかるらむ。

ほゝゑみは口のさうび花、

もつれ(がみ)(わげ)にゆふべく、

眞清水(ましみづ)やいつも澄みたる。

あゝ人よ、「愛」を命の(のり)とせば、

星や照らさむ、なが足を、

いづれは「(よる)」に入らむ時。

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