ノベリズ
海潮音
185字 約1分 2011年2月20日 公開
白銀(しろがね)の筐柳(はこやなぎ)、菩提樹(ぼだいず)や、榛(はん)の樹(き)や……
水(みづ)の面(おも)に月(つき)の落葉(おちば)よ……
夕(ゆふべ)の風に櫛(くし)けづる丈長髮(たけなががみ)の匂ふごと、
夏の夜(よ)の薫(かをり)なつかし、かげ黒き湖(みづうみ)の上(うへ)、
水薫(かを)る淡海(あはうみ)ひらけ鏡なす波のかゞやき。
楫の音(と)もうつらうつらに
夢をゆくわが船のあし。
船のあし、空をもゆくか、
かたちなき水にうかびて。
ならべたるふたつの櫂(かい)は
「徒然(つれづれ)」の櫂(かい)「無言(しじま)」がい。
水の面(おも)の月影なして
波の上(うへ)の楫の音(と)なして
わが胸に吐息(といき)ちらばふ。
目次に戻る
この話の道を写す