7話 ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ 床
読み方を変える
字の大きさ
行の間隔
1行の長さ
書体
配色
読み上げの速さ
組み方
さゝらがた錦を張るも、荒妙の白布敷くも、
悲しさは墳塋のごと、樂しさは巣の如しとも、
人生れ、人いの眠り、つま戀ふる、凡べてこゝなり、
をさな兒も、老も若も、さをとめも、妻も、夫も。
葬事、まぐはひほがひ、烏羽玉の黒十字架に、
淨き水はふり散らすも、祝福の枝をかざすも、
皆こゝに物は始まり、皆こゝに事は終らむ、
産屋洩る初日影より、臨終の燭の火までも、
天離る鄙の伏屋も、百敷の大宮内も、
紫摩金の榮を盡して、紅に朱に矜り飾るも、
鈍色の樫のつくりや、楓の木、杉の床にも。
獨り、かの畏も悔も無く眠る人こそ善けれ、
みおやらの生れし床に、みおやらの失にし床に、
物古りし親のゆづりの大床に足を延ばして。