海潮音

7話 ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ 床

289字 約1分 2011年2月20日 公開

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さゝらがた錦を張るも、荒妙(あらたへ)白布(しらぬの)敷くも、

悲しさは墳塋(おくつき)のごと、樂しさは巣の如しとも、

人生れ、人いの眠り、つま戀ふる、凡べてこゝなり、

をさな()も、老も(わかき)も、さをとめも、妻も、夫も。

葬事(はふりごと)、まぐはひほがひ、烏羽玉の黒十字架(くろじふじか)に、

(きよ)き水はふり散らすも、祝福の枝をかざすも、

皆こゝに物は始まり、皆こゝに事は終らむ、

産屋(うぶや)洩る初日影より、臨終の(そく)の火までも、

天離(あまさか)(ひな)伏屋(ふせや)も、百敷(もゝしき)大宮内(おほみやうち)も、

紫摩金(しまごん)(はえ)を盡して、(あけ)(しゆ)(ほこ)り飾るも、

鈍色(にびいろ)(かし)のつくりや、(かへで)の木、杉の(とこ)にも。

(ひと)り、かの(おそれ)も悔も無く眠る人こそ善けれ、

みおやらの生れし床に、みおやらの(うせ)にし床に、

物古りし親のゆづりの大床(おほどこ)に足を延ばして。

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