ファウスト

15話 悲壮劇の第一部 四阿

578字 約1分 2012年12月24日 公開

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マルガレエテ飛び込み、扉の背後に躱(かく)れ、右の示指の尖を脣に当て、隙間より外を窺ふ。

    マルガレエテ

いらしった。

ファウスト登場。

    ファウスト

     横着ものだね。わたしを揶揄(からか)うなんて。3205

そら攫(つか)まえたぞ。(接吻す。)

    マルガレエテ

(抱き着き、接吻し返す。)

       あなた。心(しん)から可哀くてよ。

メフィストフェレス戸を敲(たた)く。

    ファウスト(足踏す。)

誰だ。

    メフィストフェレス

  お連(つれ)です。

    ファウスト

      畜生。

    メフィストフェレス

        そろそろお切上(きりあげ)なさらなくては。

マルテ登場。

    マルテ

本当に遅くなりますよ。

    ファウスト

          送って行ってはいけないかい。

    マルガレエテ

それこそ母(か)あ様が。さようなら。

    ファウスト

              行かなくてはならんかなあ。

そんならこれで。

    マルテ

       御機嫌好う。

    マルガレエテ

            こん度はお早くね。3210

(ファウスト、メフィストフェレス退場。)

まあ。ああ云う男の方と云うものは

いろいろな事にお気が附くこと。

わたしぼんやりして立っていて伺って、

何を仰ゃっても、はいはいと云うきりだわ。

わたし、まあ、なんと云う馬鹿な子だろ。3215

わたしのどこがお気に入るのかしら。(退場。)

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