大叫喚

1話 大叫喚

534字 約1分 2008年10月15日 公開

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 これも、矢張(やっぱり)メリケン幽霊だ。合衆国(がっしゅうこく)桑港(サンフランシスコ)から、国の中央を横切っている、かの横断鉄道には、その時、随分(ずいぶん)不思議な(はなし)もあったが、何分(なにぶん)ロッキー(さん)の山奥を通過する際などは、その(あたり)何百里というもの、全く人里離れた場所などもあるので、現今(げんこん)でもあまり、いい気持のしないのである。この鉄道が、まだ出来た当時などは、その不完全な工事の()めに、高い崖の上に(かよ)っている線路が(はず)れたり、深い谿谷(たに)の間に(かか)っている鉄橋が落ちたりして、()めに、多くの人々が、不慮(ふりょ)の災難に、非命(ひめい)の死を()げた事が、往々(おうおう)にあったのだが、その頃に、其処(そこ)(あと)から汽車で通過(とおりすご)すると、そんな山の中で、人家の無い所に、わいわいいって沢山の人々が(あつま)っているのが、見えるのだ。機関手は再三再四汽笛を鳴らして、それに注意を与えるが、彼等は一向(いっこう)平気で、少しもそこから去らないから、仕方なしにまた汽車を動かして、其処(そこ)を通って()くと、最早(もはや)彼等の姿は、決して人の眼に映らないが、何処(どこ)からともなく、嫌な声で、多くの人々の、悲鳴するような叫喚(さけび)が、山に反響して雑然(ざわざわ)如何(いか)にも物凄く(きこ)えてくるので、乗客は恐ろしさに()えず、皆その窓を閉切(しめき)って、震えながらに通ったとの事である。その当時は、よくこんな出来事があったものだと、私は(ある)米国人から聞いたのである。

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