魔法人形

25話 おばけの木

1,339字 約3分 2018年6月15日 公開

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 ジャングルには、見たこともないような、みょうな木がしげっています。枝ではなくて、ふといつるがむやみにのびて、おたがいに巻きつきあっているのです。木の葉は、みんな恐ろしく大きく、まっさおな巨人のうちわのような形や、ふつうのシダを千倍にしたような形のものなどが、ウジャウジャと、かさなりあっているのです。

 そんな、おばけのような木の葉のしげったむこうに、チラッと、まっかなものが見えました。その色が、あんまりあざやかなので、火が燃えているのではないかと思ったほどです。

 マユミさんは、あっけにとられてしまいました。そして、とりこになったこともわすれて、そのジャングルの中を、見てまわりたいような気持になりました。

 そこで、しりもちをついたおしりをさすりながら、おずおずと、ジャングルの中へはいっていきました。

 ヘビのようにもつれている、つるのような木の枝や、巨大な木の葉のあいだを、くぐって歩いていきますと、さっきの、まっかなもののそばにきました。

 それは、びっくりするほど巨大な赤い花でした。ユリの花を千倍にしたような形です。それを見ると、マユミさんは、じぶんが十センチぐらいのこびとになったような気がしました。その巨大な花を、ふつうのユリの花とすれば、マユミさんは、チョウくらいの大きさなのです。

 ふと気がつくと、背中のほうで、ごそごそ動いているものがありました。なんだか人間の手のようです。ギョッとしてふりむくと、ふとさ五センチもあるような長いつるが、ヘビのように、マユミさんに巻きつこうとしているのです。

 びっくりして逃げようとしましたが、そのつるは、まるで生きもののように、とっさにパッとのびて、あっというまに、マユミさんのおなかを、ひと巻きしてしまいました。

 恐ろしい力です。一度巻きつけば、もうはなすものではありません。つるは、ぜんまいのように、くるくると、木のみきのほうへちぢんでいって、あっというまに、マユミさんを、空中につりあげてしまいました。

 マユミさんは、手足をばたばたやって、のがれようとしましたが、ぐんぐん、上につりあげられるばかりです。

 マユミさんは、いつか本で読んだことがあります。南洋のジャングルの中には、恐ろしい木があって、つるで人間を巻きこんで、たべてしまうというのです。人をくう木です。

 これはきっと、その、人をくう木にちがいないと思いました。

「助けてえ……。」

 マユミさんは、空中でもがきながら、悲鳴をあげました。すると、

「えへへへへへ……。」

と、ジャングルにひびきわたる、恐ろしい笑い声がおこりました。おばけの木が笑ったのでしょうか。その木は、ふたかかえもあるふといみきで、その上のほうに、なんだか、人間の顔みたいなものがありました。木のみきのしわが、目や、鼻や、口に見えるのです。

 あの口が、ガッとひらいて、いまにも、くわれてしまうのではないかと、生きたここちもありません。

「えへへへへ……。まあ、ゆるしてやるよ。この森には、まだ、いろいろとおもしろいものがあるから、ゆっくり、見物するがいい。」

 そんな声がしたかと思うと、木のつるがずっと下にさがって、マユミさんを地面におろし、巻きついていたのが、くるくると、はなれてしまいました。

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