夜光人間

24話 白ひげのじいさん

1,760字 約4分 2018年7月15日 公開

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 お話かわって、こちらは小林少年が四人のチンピラ隊員といっしょに、西洋館のそとの原っぱの草の中に、寝そべっていました。

 そこに地下道の入口を発見したからです。くさむらの中に、ぽっかりと穴があいていました。いつもは大きな石で、ふたがしてあるらしく、その石が、そばにころがっているのです。なぜ、ふたがひらいてあるのでしょう。もしかしたら、四十面相は、ここから逃げだすつもりではないでしょうか。

 小林君は懐中電灯で、その穴の中を照らしてみました。石の階段が、ずっと下の方へつづいています。たしかに地下からの出口です。

 そこで懐中電灯を消して、四人のチンピラといっしょに、穴のそばの草の中に寝ころんで、待ちぶせすることにしました。

 このへんは、さびしい場所なので、商店のネオンなども見えず、自動車のひびきも聞こえず、空を見あげると、おどろくほどたくさんの星が、砂をまいたように美しく光っています。

 それから、長い長いあいだ、しんぼうつよく待ちぶせしていましたが、そのかいがありました。穴の中から、何者かが、ヌウッと出てきたからです。

 明智探偵に化けた四十面相かと思うと、そうではありません。穴からはいだしてきて、ステッキを力に、よろよろと立ちあがったのは、おそろしく年をとったおじいさんでした。

 やみに目がなれているので、星あかりで、そのすがたが、かすかに見えます。しらが頭に、胸までたれたふさふさした白ひげ、背広をきて、ステッキをついているのですが、腰がふたつにおれたようにまがっています。

「ははあ、四十面相のやつ、こんなじいさんに化けて逃げだすつもりだな。」

 小林君はそう思って、四人のチンピラに、尾行をはじめるというあいずをしました。

 白ひげじいさんは、原っぱを、チョコチョコと歩いていきます。そんなに腰のまがったじいさんにしては、なかなか足がはやいのです。

 原っぱを出ると、なにかの工場のコンクリート塀が、ずっとつづいています。街灯もすくなく、おそろしく暗い町です。

 白ひげじいさんは、その町を、テクテクと歩いていきましたが、まがりかどにくると、ヒョイとうしろをふりむきました。

 小林君たちは、コンクリート塀にくっつくようにして、尾行していましたから、見つかるはずはないと思いましたが、それでも、なんとなくきみがわるいので、立ちどまったまま、身うごきもしないでいました。

 白ひげじいさんは、じっとこちらを見て、なにか、ぶつぶつと口の中でつぶやいていましたが、やがて、

「エヘヘヘヘ……。」

と、うすきみのわるい笑い声をたてて、そのまま、また、むこうへ歩きだすのでした。

 どうも気づかれたようです。じいさんに化けた四十面相は、小林君たちの尾行を気づいて、あんなきみのわるい笑い声をたてたのかもしれません。

 しかし、たとえ気づかれても、尾行をよすわけにはいかないので、小林君たちは、なおも、白ひげじいさんのあとをつけていきました。

 工場のコンクリート塀をすぎると、神社の森がありました。じいさんは、その森の中へはいっていきます。少年たちも、あとにつづきました。

 石のとりいをくぐって、しばらくいきますと、社殿(しゃでん)の前に、石のコマイヌが石の台の上に、ぶきみな猛獣(もうじゅう)のようにうずくまっていました。

 白ひげのじいさんは、そこをとおりすぎて、社殿のうらの深い森の中へはいっていきます。少年たちは、ますますきみがわるくなってきましたけれど、逃げだすわけにはいきません。

「エヘヘヘヘ……。」

 気がつくと、白ひげのじいさんが、こちらをむいて、いやな声で笑っていました。少年たちはおもわず立ちどまりましたが、相手に気づかれたことは、もう、うたがうよちはありません。

「エヘヘヘヘ……、そこにいるのは小林君だね。それから、チンピラ隊の子どもたちだね。おれをつけてきたのは感心だ。よくあの地下道の口に気がついた。で、きみたちは、おれの正体を知っているのかね。知らなければ、いま、見せてやろう。ほら、これがおれの正体だッ。」

 いったかとおもうと、じいさんのからだが、パッと木の(みき)にかくれ、そこから、青白く光るものが、スウッと浮きだしてきました。

 夜光人間の首です。

 青白くリンのように光る顔、巨大なまっ赤な目、赤くもえている口、あの恐ろしい夜光人間の首です。

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