探偵少年

2話 少女の悲鳴

1,782字 約4分 2018年8月12日 公開

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 西洋館のよこてに、物置小屋があって、その前にはしごがおいてありました。人造人間は、ふじゆうな手で、そのはしごをつかむと、ズルズルと、西洋館の窓の下へひきずっていき、それを二階の窓へたてかけました。

 それから、はしごをのぼりはじめたのです。機械人間が、はしごをのぼる姿は、じつに気味のわるいものでした。

「あらっ。窓からはいるつもりだよ。あいつ、どろぼうかもしれない。おまわりさん、呼んでこようか。」

 ノロちゃんが、心配そうに、ささやきました。

「まちたまえ。もうすこし、ようすをみよう。」

 小林団長はおちついています。人造人間は、とうとう二階の窓までのぼりつきました。

 二階の窓は、なかから、しまりがしてないのか、人造人間は、そのガラス戸を、ソーッと開いて、窓のなかへはいっていきました。

「おまわりさんよりも、ここのうちの人に、しらせてあげよう。もし、しらないでいると、たいへんだからね。」

 小林君は、そういって、ノロちゃんといっしょに、正面の入口へひきかえしました。

 入口のベルをおしましたが、いくら待っても、だれも出てきません。へんだなとおもって、ドアをおしてみますと、音もなく開きました。ここも戸じまりがしてないのです。

 窓の小さい、きゅうしきな建物ですから、なかは昼間でもうす暗く、シーンとしずまりかえって、まるで、空家のようです。

「ごめんください。」

 大きな声で呼んでみましたが、なんのへんじもありません。ノロちゃんはもどかしくなって、くつをぬいで、いきなり、廊下へあがっていきました。

「だれもいないんですか。ごめんなさーい!」

 びっくりするような声で、どなりました。やっぱりシーンとしています。

「へんだなあ。ここ空家かしら。」

 そのときです。西洋館のおくのほうから、

「キャーッ、たすけてえ……。」

という女の悲鳴が、聞こえてきました。

 ノロちゃんは、それをきくと、くつもはかないで、入口の外へ逃げだしました。野呂一平君は、探偵団員にもにあわない、おくびょうものです。

 小林少年は、すばやく、ノロちゃんを追っかけて、ドアのなかへ、ひきもどしました。

 ひきもどされたノロちゃんは、大きな目をキョロキョロさせて、なにか出てきたら、すぐ逃げだせるように、へんな腰つきをしています。

「いまのは、小さい女の子の声だったぜ。さあ、いってみよう。ひどいめにあわされていたら、助けてやらなけりゃあ。」

 小林君は、ノロちゃんの手を、グッとひっぱりました。

 小林君も、くつをぬいで上にあがり、ノロちゃんの手をひっぱって、廊下をグングン、おくへはいっていきました。

「キャーッ、だれか来てえ……。」

 またしても、耳をつんざく悲鳴! ノロちゃんは、からだをピクンとさせて、逃げようとしましたが、小林君に、グッとにらみつけられました。

「きみ、それでも少年探偵団員かっ!」

 廊下をまがると、むこうの部屋のドアが、開いたままになっていました。そして、その中から、へんなもの音が聞こえてきます。

「あの部屋だ。のぞいてみよう。」

 ドアのところまでいって、そっと中をのぞきました。すると、その洋室のテーブルの下に、かわいらしい少女が、グッタリと、たおれていたではありませんか。

 たおれていたのは、ピンクの洋服をきた、十二―三歳の少女でした。

「どうしたの? だれが、こんなめにあわせたの?」

 小林君がかけよって、少女をだきおこして、たずねました。少女は、よほどこわかったとみえて、口もきけないのです。ただ、つぎの部屋を、ゆびさすばかりでした。

 少女が、「あちら、あちら。」というように、ゆびさすので、そのほうを見ますと、つぎの部屋へ通じるドアが、半分ひらいていました。きっと人造人間です。あいつが少女を、つきたおしておいて、あの部屋へ、はいっていったのです。

 小林君は、またノロちゃんの手をひっぱって、その部屋へ、はいっていきました。その部屋は、なぜか夜のようにまっ暗でした。

 その部屋は、窓のよろい戸が、ぜんぶしめてあって、まっ暗でしたが、てんじょうと、壁の床に近いところに、一つずつ電灯がついていて、それが、こちらへ、強い光をなげています。

「あっ、いた、いた。あいつだっ!」

 ノロちゃんは、ギョッとして、また逃げだしそうになりました。部屋のすみに、あの人造人間が、ニューッとたっていたからです。

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