2話 少女の悲鳴
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西洋館のよこてに、物置小屋があって、その前にはしごがおいてありました。人造人間は、ふじゆうな手で、そのはしごをつかむと、ズルズルと、西洋館の窓の下へひきずっていき、それを二階の窓へたてかけました。
それから、はしごをのぼりはじめたのです。機械人間が、はしごをのぼる姿は、じつに気味のわるいものでした。
「あらっ。窓からはいるつもりだよ。あいつ、どろぼうかもしれない。おまわりさん、呼んでこようか。」
ノロちゃんが、心配そうに、ささやきました。
「まちたまえ。もうすこし、ようすをみよう。」
小林団長はおちついています。人造人間は、とうとう二階の窓までのぼりつきました。
二階の窓は、なかから、しまりがしてないのか、人造人間は、そのガラス戸を、ソーッと開いて、窓のなかへはいっていきました。
「おまわりさんよりも、ここのうちの人に、しらせてあげよう。もし、しらないでいると、たいへんだからね。」
小林君は、そういって、ノロちゃんといっしょに、正面の入口へひきかえしました。
入口のベルをおしましたが、いくら待っても、だれも出てきません。へんだなとおもって、ドアをおしてみますと、音もなく開きました。ここも戸じまりがしてないのです。
窓の小さい、きゅうしきな建物ですから、なかは昼間でもうす暗く、シーンとしずまりかえって、まるで、空家のようです。
「ごめんください。」
大きな声で呼んでみましたが、なんのへんじもありません。ノロちゃんはもどかしくなって、くつをぬいで、いきなり、廊下へあがっていきました。
「だれもいないんですか。ごめんなさーい!」
びっくりするような声で、どなりました。やっぱりシーンとしています。
「へんだなあ。ここ空家かしら。」
そのときです。西洋館のおくのほうから、
「キャーッ、たすけてえ……。」
という女の悲鳴が、聞こえてきました。
ノロちゃんは、それをきくと、くつもはかないで、入口の外へ逃げだしました。野呂一平君は、探偵団員にもにあわない、おくびょうものです。
小林少年は、すばやく、ノロちゃんを追っかけて、ドアのなかへ、ひきもどしました。
ひきもどされたノロちゃんは、大きな目をキョロキョロさせて、なにか出てきたら、すぐ逃げだせるように、へんな腰つきをしています。
「いまのは、小さい女の子の声だったぜ。さあ、いってみよう。ひどいめにあわされていたら、助けてやらなけりゃあ。」
小林君は、ノロちゃんの手を、グッとひっぱりました。
小林君も、くつをぬいで上にあがり、ノロちゃんの手をひっぱって、廊下をグングン、おくへはいっていきました。
「キャーッ、だれか来てえ……。」
またしても、耳をつんざく悲鳴! ノロちゃんは、からだをピクンとさせて、逃げようとしましたが、小林君に、グッとにらみつけられました。
「きみ、それでも少年探偵団員かっ!」
廊下をまがると、むこうの部屋のドアが、開いたままになっていました。そして、その中から、へんなもの音が聞こえてきます。
「あの部屋だ。のぞいてみよう。」
ドアのところまでいって、そっと中をのぞきました。すると、その洋室のテーブルの下に、かわいらしい少女が、グッタリと、たおれていたではありませんか。
たおれていたのは、ピンクの洋服をきた、十二―三歳の少女でした。
「どうしたの? だれが、こんなめにあわせたの?」
小林君がかけよって、少女をだきおこして、たずねました。少女は、よほどこわかったとみえて、口もきけないのです。ただ、つぎの部屋を、ゆびさすばかりでした。
少女が、「あちら、あちら。」というように、ゆびさすので、そのほうを見ますと、つぎの部屋へ通じるドアが、半分ひらいていました。きっと人造人間です。あいつが少女を、つきたおしておいて、あの部屋へ、はいっていったのです。
小林君は、またノロちゃんの手をひっぱって、その部屋へ、はいっていきました。その部屋は、なぜか夜のようにまっ暗でした。
その部屋は、窓のよろい戸が、ぜんぶしめてあって、まっ暗でしたが、てんじょうと、壁の床に近いところに、一つずつ電灯がついていて、それが、こちらへ、強い光をなげています。
「あっ、いた、いた。あいつだっ!」
ノロちゃんは、ギョッとして、また逃げだしそうになりました。部屋のすみに、あの人造人間が、ニューッとたっていたからです。