10話 八号の二
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ムッチリして、ろくに物を言わぬ男がいた
開墾さんにしては少し物のわかった
水と油とどっか色合のちがった
仲間を悪化する者であり、会社の秘密をアバク者なりと会社が彼をきめてしまったのは
彼が自著の詩集を友達にくれたその日からだ
彼は会社から蛇の如く、毛虫の如く嫌われ
会社の犬はうるさく彼をつき纒った
圧迫、更に圧迫
彼はまるで罪人扱いの毎日を送っていた
彼はその悲喜劇の中で
じっと明日を考えていた
彼の布団の下には仲間からの手紙があった
クロポトキンやバクーニンがあった
布団を冠り、コツコツ何かをノートへ記していた
(一九三一年十一月北緯五十度社刊『北緯五十度詩集』に発表)