炭坑長屋物語

10話 八号の二

275字 約1分 2016年4月17日 公開

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ムッチリして、ろくに物を言わぬ男がいた

開墾さんにしては少し物のわかった

水と油とどっか色合のちがった

仲間を悪化する者であり、会社の秘密をアバク者なりと会社が彼をきめてしまったのは

彼が自著の詩集を友達にくれたその日からだ

彼は会社から蛇の如く、毛虫の如く嫌われ

会社の犬はうるさく彼をつき纒った

圧迫、更に圧迫

彼はまるで罪人扱いの毎日を送っていた

彼はその悲喜劇の中で

じっと明日を考えていた

彼の布団の下には仲間からの手紙があった

クロポトキンやバクーニンがあった

布団を冠り、コツコツ何かをノートへ記していた

(一九三一年十一月北緯五十度社刊『北緯五十度詩集』に発表)

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