28話 三 去年の日記から 22」は縦中横][#「22
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下らない事から力を拔く――一大事にウンと力を入れるために。
無用の爭ひを避ける――命がけの喧嘩をする力を蓄へるために。
上滑りをして通る――中心の問題に注意の焦點を集中するために。
力の足りないものは力の經濟を考へなければならない。俺の力はいくら愛惜して使つても、猶必要に應ずるにさへ足りない。
下らない事にも全力を注いでゐるやうな顏をしたがるな。何氣ない顏をしてゐる事が出來なくなるまでは何時までも何氣ないやうな顏をしてゐよ。
世間はうるさい。外來の刺戟は餘りに猥雜である。凡ての遭遇は内から抑揚をつけなければならない。
凡ての刺戟を其儘に受け入れて全力を刹那々々に用ゐ盡すを得る者は非常な強者である。若しくは無神經な馬鹿である。俺は強者でもない。馬鹿でもない。
凡ての避け得べからざる事の中に邁進して汝自身の生命をその中より發見し來れ。凡ての避け得べき事に就いて、進む可きと逃ぐ可きとの判別を明かにせよ。四年抄録)