海底大陸

64話 鉄水母待て

818字 約2分 2013年5月17日 公開

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 怪潜水艇鉄水母が、ジム水兵をのせたまま、ずんずん海中にしずみかかったのだ。あわてたのはザベリン中尉だった。

 鉄水母の撃沈命令がおりているのに、このまま鉄水母が沈んでしまっては、ザベリン中尉の職責(しょくせき)がはたせない。

「おい、ジム。鉄水母を沈ませちゃならんぞ。なぜ艇内へはいってしらべないのか」

 腰から下を水づかりのジム水兵は、あきれ顔をあげた。

「鉄水母をしずませるなとおっしゃっても、わしになにができますものか。第一、鉄水母の内部へはいれと命令されても、どういうものか、内部がみえているくせに、体が入口につかえてはいれないんですぜ」

「ばかをいうな。入口から内部がみえていて、それではいれないとは、どういうわけだ。さっぱりわけがわからないが」

「さようです。まったくわけがわからないので――」

 と、いっているうちにも、鉄水母はずんずん沈んだ。海水は、ジムのへそをぬらして、胸にせまっている。かれは一生けんめい、艦橋(かんきょう)のほばしらにつかまっている。

「おーい、鉄水母が沈んでしまうぞォ」

 ジムは悲鳴をあげた。

 ザベリン中尉は、ジム水兵よりも、もっともっとあわてた。

 彼はとつぜん主砲を鉄水母の方にむけさせた。

 これを見て、腰をぬかすほどおどろいたのはジム水兵だ。

「あっ、うつんですか。こっちをうっちゃいやですよ。重任(じゅうにん)をおびて、ここにきているジム水兵がいるんですからね。見落としちゃいけませんよ」

 砲手の方も、ジム水兵のことには気がついていた。

「ザベリン中尉。鉄水母の上にはジム水兵がのっています。このまま砲撃すれば、ジムの体は、こっぱみじんになってしまいます」

 そういって、中尉に警告をした。

 すると中尉は、

「ジムの危険よりも、本官にあたえられた任務のほうが重大だ。いまここで鉄水母を撃沈しとかなきゃ、おれは艦隊司令官へ報告ができない。かまわないから、ねらいをつけて、どーんと一発ぶっぱなせ。ジムには、はやく海中へとびこんで鉄水母からはなれろと信号しろ」

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