66話 ロンドン帰港
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帰還だ。
もう、ふたたび見ることができないと思ったロンドン港が見える。クイーン・メリー号の生存者は大よろこびだ。
凱旋だ。
クイーン・メリー号救助の命令をうけ、遠く大西洋上に派遣された英空海軍の部隊は、いまや大任をはたして、どうどう英京ロンドンさして凱旋してきたのである。
ロンドンは、その日お祭りのようなさわぎだった。ロンドンの市民は老いも若きも、メリー号の見える埠頭や高層建築のまどにあつまってきた。そしてメリー号がまだ入港しない先から、旗をふったり、五彩の紙片をばらまいたりして、ものすごい熱狂ぶりであった。
そこに集まったのはロンドン市民だけではない。近郊からも、ぞくぞくと、この大奇蹟の汽船を見ようと見物人が集まってきた。
テームズ河を、クイーン・メリー号がのぼりはじめたというラジオのアナウンスがあると、待ちに待った人々は、わっとよろこびの声をあげた。そして一せいに眼をかがやかせて、広い川面の方へつまさきをのびあがらせるのだった。
ぽー ぽぽー。
汽笛が鳴った。
「あっ、メリー号がかえってきた」
「あっ、あそこだ。見える見える。メリー号のマストがおれていらあ」
メリー号の前後には、救助にいった潜水艦や駆逐艦が護衛し、また空には空で、ラスキン大尉のひきいる派遣空軍が、うつくしい編隊をつくって舞っていた。
「クイーン・メリー号、ばんざーい」
「ばんざーい」
待ちくたびれて不平をいっていた群衆も、いまはすいこまれたように、メリー号の方にのびあがり、さかんに黄色い声をおくった。
だが、クイーン・メリー号の、なんと変りはてた姿よ。
ほばしらは折れ、船側はくぼみ、通風筒はみにくくまがり、見るもむざんな姿であった。
船体を三色にそめていた美しいペンキは、すっかり赤はげにはげて、まるで鉄屑置場からひっぱりだしたように見える。
しかし、船内からありったけの万国旗をひっぱりだし、ほばしらから、ほばしらへはりめぐらして、せめて海の女王の身だしなみを見せようというのであったが、その万国旗も、多くははげたりよごれたり破れたりしていて、見ている者をして思わず涙ぐませた。
クイーン・メリー号が、そのつかれきった船体を埠頭につけたとき、ロンドン市長は行列の先頭にたって、この奇蹟的な生還船を訪問した。
マイクロフォンがかつがれて、船内へはこばれる。
写真班が、フラッシュ・ライトをぱっぱっとたく。ロンドンはその日も、どんよりと霧にたちこめられていたから。
群衆は、メリー号におしかけた。
が、まず何よりも無事なメリー号の姿に安心を感じると、かれらはラジオや新聞の上でかねて好奇心をわかせていたものの方へ、注意力をうつしはじめた。
「おお、海底大陸のロロー殿下を見せてもらいたい」
「そうだ、そうだ。早く見せろい」