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雨の玉川心中 02 遺書

太宰 治 全1話 555字 2017年6月13日

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1. 鶴巻夫妻宛太宰と富栄連名の遺書

 永いあいだ、いろいろと身近く親切にして下さいました。忘れません。おやじにも世話になった。おまえたち夫婦は、商売をはなれて僕たちにつくして下さった。お金のことは石井に太宰 治

 泣いたり笑ったり、みんな御存知のこと、末までおふたりとも御身大切に、あとのこと御ねがいいたします。誰もおねがい申し上げるかたがございません。あちらこちらから、いろいろなおひとが、みえると思いますが、いつものように、おとりなし下さいまし。

 このあいだ、拝借しました着物、まだ水洗いもしてございませんの。おゆるし下さいまし、着物と共にありますお薬は、胸の病いによいもので、石井さんから太宰さんがお求めになりましたもの、御使用下さいませ。田舎から父母が上京いたしましたら、どうぞ、よろしくおはなし下さいませ。勝手な願いごと、おゆるし下さいませ。

昭和二十三年六月十三日富栄

追伸

 お部屋に重要なもの、置いてございます。おじさま、奥様、お開けになって、野川さんと御相談下さいまして、暫くのあいだおあずかり下さいまし。それから、父と、姉に、それから、お友達に(ウナ電)お知らせ下さいまし。

父 滋賀県神崎郡八日市町二四四山崎晴弘

姉 神奈川県鎌倉市長谷通り二五六

   マ・ソアール美容院山崎つた

友達

本郷区森川町九〇加藤郁子

淀橋区戸塚町一ノ四〇四宮崎晴子

雨の玉川心中 02 遺書 — 太宰 治 — https://noveliz.cc/n/q1pvvkf0wn

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