水の上

1話 水の上

240字 約1分 2016年6月2日 公開

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中央公会堂の赤煉瓦

緑青(ろくしよう)色の高裁のドーム

中洲の葉柳をかすめて

とび去る水中翼船の渦巻から

ムツとするような水苔の匂い。

ついさつきまで

ランチ・タイムを(たの)しんでいた

BGやホワイト・カラー達も

みんな今は引き揚げていつてしまい

あとには

濡れ手で銭勘定の

貸ボート屋ののどかな浮世哲学。

上げ潮にむつかしい家裏(やうら)をみせた川魚料理の

昼もほのぐらい煤天井(すすてんじよう)

うららかな水かげろうの(あや)

軒場に張り出した

巣箱のようなエア・コンの上に

かえりそびれた

新聞社の伝書鳩が

ちよこなんと一つ

そろそろ夕刊の

降版の時間だというのに。

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