54話 おばけの正体 第五四項 幽霊の変形
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これに類したる話を、越後高田に滞在中にも聞いている。同所の春日町にてかなりの財産ある家で、一人の娘と母親のみにて暮らしていたものがある。その娘が病死した後、夜ふけて全身に白衣を被り、亡者の形を装い、その家へ忍び入り、老母の枕頭に立ち、「われはこのごろ死んだ娘である。大切の衣類を残しておいたために、冥土へ行くことができぬ。ぜひ一枚渡して下さい」と申すから、老母は「それは気の毒であるから」といって、紋付き一枚渡してやった。そのつぎの夜、また同様の姿にて忍び込んで、「帯がなくては行くところへ行けぬ」と申すから、それも渡してやった。翌日親類の者がたずねて来たから、その次第を話したれば、「今夜はわれわれが泊まり込んで見届けてやる」ということになり、待ち構えていたところ、その夜も幽霊が忍び込んで来た。これを捕らえてやろうとしたれば逃げ出したから、いよいよ怪しいと思い、後を追って行ったれば、その亡霊は墓場へ逃げ込み、石碑の陰に身を隠したけれども、そこへ踏み込んで捕らえて見れば、同町に住める貧家の女房であった。幽霊にもいろいろの種類がある。