66話 おばけの正体 第六六項 幽霊の油をすする音
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ここにまた、江州甲賀郡信楽郷にて聞いた幽霊談がある。某教員が深夜墓畔を通行せしに、白き形の怪物がピシャピシャと音を発して動きつつあるを認め、これ幽霊に相違なしと思い、満身冷汗を浮かべ、ゾッとして身震いするほど恐ろしく感じた。そのときはほとんど夢中になり、かえって最後の勇気を生じ、死を決して奮闘する覚悟を起こして突進したれば、たちまちその正体を発見するに至った。墓場に灯を点じたる後に、カワラケの油が残っていた。しかるに、これは白犬がここに至り、その油をすすっていたのであったそうだ。