おばけの正体

93話 おばけの正体 第九三項 鶏の変性する原因

345字 約1分 2016年6月5日 公開

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 神社仏閣の境内に、信者より鶏を献納する所がある。そこでは雌鳥を献納しても、みな雄鳥に化すると申すが、実際これを見るに、雄のみにして雌はおらぬ。よって、信者はこれを神仏の妙力によって変性するものと信じておれども、いかに神仏の力にても雌を雄に変化せしめ得るはずはない。余が、かつてある地方の神社に参拝し、鶏の雄のみたくさん集まりいるを見て、「雌鳥もこの境内に入れば、神力によってみな雄に化するというが、事実いかん」とたずねたれば、その地の紳士が答うるに、「神力にあらずして人力である」と申した。その、いわゆる人力とは、ほかより信者が雌鳥を献納しても、その近傍に住する民家にては雄鳥より雌鳥を好むために、ひそかに己の有する雄鳥と引き替えをするのであるそうだ。さすれば、なにも不思議のことはない。

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