6話 9 金色のとら
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それから、家じゅうのそうさくが始まりました。
明智たんていのぶかがふたり、書生がふたり、自動車のうんてん手、それに、黒ふくめんのままのポケット小ぞうもくわわって、六人が二組に分かれて、ろうかからろうかへ、へやからへやへと、さがし回るのでした。
しかし、木村さんに化けた二十めんそうは、どこにもいません。もう、さがすところがないのです。
「あっ、このおし入れ、まだあけてみなかったね」
ポケット小ぞうが、ろうかのおし入れの前に立ち止まって、そっとささやきました。
「うん、まだだ。あけてみよう」
明智たんていのぶかが、おし入れの戸に手をかけて、そっと開きましたが、開いたかと思うと、
「わあっ……」
とさけんで、あとじさりをしました。
おお、ごらんなさい。一頭の大きなとらが、ぬうっと、あらわれてきたではありませんか。
黄色いからだに、太い、まっ黒なしまがついています。その黄色いところが、金色に光っているのです。らんらんとかがやく二つの目が、じっと、こちらをにらんでいます。
家の中に、とらがいるなんて、なんという、ふしぎなことでしょう。まるで、考えてもみなかったことです。
みんなは、あまりのおそろしさに、立ちすくんだまま、どうすることもできないのでした。
金色のとらは、ゆうゆうと、おし入れの中から出てきて、のそりのそりと歩きだしました。
そして、みんなのそばを通りすぎると、にわかに足を早め、いきなりかけだして、ろうかの向こうへまがっていってしまいました。
ここは、たけしくんと、きみ子ちゃんのしんしつ(ねるへや)です。
さっき、書生さんが来て、二十めんそうが、家の中にかくれているといったので、ふたりは、こわくてしかたがありません。ベッドから出て、パジャマを着たまま、へやのすみっこで、たがいのからだをだきしめて、ぶるぶるふるえながら、立っていました。
すると、入口のドアが音もなく、すうっと開いたのです。そして、そのすき間から、金色に光るものがあらわれてきたではありませんか。
とらです。びっくりするほど大きな、金色のとらです。
ふたりは、あまりのふしぎさに、ゆめでも見ているのではないかと思いました。しかし、ゆめではありません。生きたとらが、ほんとうに、しんしつの中へはいってきたのです。
大とらは、へやにはいると、あと足で立って、前足で、かぎあなにさしたままになっているかぎを、カチンとかけてしまいました。
ふたりは、もう、にげ出すこともできないのです。
金色のとらは、ふたりの方へ、のそりのそりと近づいてきました。
さて、みなさん、これから、いったい、どんなことが起こるのでしょう。たけしくんときみ子ちゃんは、この大とらに食われてしまうのではないでしょうか。
それにしても、家の中にとらがいたなんて、じつにふしぎです。これには、なにかわけがあるのにちがいありません。そのわけとは……。
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