佐藤春夫詩集

13話 消閑雜詩 故園晩秋の歌

251字 約1分 2022年4月9日 公開

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ふる里のふりたる家のあはれなる秋のまがきは人ありてむかし植ゑにししらぎくのさかりすぎたりあれまさる桑のはたけは人ゆかぬ畦(あぜ)のかたみち釣鐘の花かれにけり

古井戸の石だたみには人しらぬ鷄頭の花うつぶせにたふれさくなりひとりただ園をめぐりてとほくゆく雲をねぎらひうつつなる秋の胡蝶をあはれみてわがたたづめば山ちかみくる日はやし

反歌

ふるさとのふりたる家の庭にして晝なく蟲をきけばかそけし

州橋畔愁夜曲

月いでて

水に映れば

篷船(とまぶね)に

誰家(たがいへ)の子ぞ

笛を吹く

ひよろ ひよろ。

遊子ひとり

橋に彳み

涼かぜに

帽を脱ぎ

うす雲や

思ひ はろばろ。

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