佐藤春夫詩集

18話 消閑雜詩 鳩

177字 約1分 2022年4月9日 公開

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白い羽根が一枚散り込んだ

それから一聲啼いて聞かせた

私の窓の上に鳩が一羽ゐた。

怪訝(けげん)な鳩よ いつたいどうしたといふのだ

旅に出てたよりのない女からの

その便りならば、……困つた事だ。

せつかくの親切なお前のその話も

女の心と同じく私にはわからない

お前の落した羽根には何も書いてない。

鳩よ 曇り日のひとりの鳩よ

見知らない鳩よ 白い鳩よ

女に返事をせよ――私はもの憂(う)いと。

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