ニュートン

3話 月も地球に落ちてくる

1,050字 約2分 2018年12月25日 公開

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 ニュートンがどうして万有引力を発見したかと()うと、それにはいろいろな苦心が重ねられたので、林檎(りんご)の実の落ちるのを見たぐらいで()ぐにそんなすばらしい発見が出来るものではありません。

 林檎(りんご)の実に限らず、どんなものでも地球上で支えるものがなければ落ちるということは誰でも知っています。これを自由落下といいますが、それに対する法則はニュートンよりも前に、イタリヤのガリレイという学者が(すで)に発見しました。ところで皆さんは、何も支えるものが無いのに拘わらず、いつ(まで)経っても地面に落ちて来ないもののあるのを知っていますか。何だかそう()うと謎みたいに聞こえますが、それはつまり空に輝いている月です。月は地球の周りを(まわ)っているのだということが、今でははっきりわかっていますけれども、それにしても月はどうして地面に落ちないのでしょうか。林檎(りんご)は落ちるけれども、月は落ちない。これが多分ニュートンの最初の疑問ではなかったのでしょうか。つまり月を問題にしたところに、ニュートンの人並みすぐれた烱眼(けいがん)があったのです。

 そこでニュートンは、はっきりとした論理を追究してゆきました。林檎(りんご)が落ちるならば、月もまた落ちなくてはならない。それなら月は果してどんな速さで落ちているかを計算して見よう。これがニュートンの研究の出発点でありました。

 これだけでは皆さんに月の落ちていることがまだよくわからないかも知れませんから、もう少し説明するとこういうことになるのです。野球の球を投げると、曲線を描いて遠方に落ちます。投げる力が強ければ、強い(ほど)遠くへゆくでしょう。大砲の弾丸でも同じことです。そこで仮に非常な強い力で弾丸を打ち出したならどこ(まで)ゆくかと考えて見ましょう。この力をますます強くしたと考えれば、落ちる場処(ばしょ)はだんだん遠方になり、例えば日本から打ち出したものが支那(しな)(まで)とどき、もっと強ければ支那(しな)を超えてヨーロッパまでもゆき、ついにはそれも通り越してアメリカにも達するという理屈です。実際にそんなことは出来ないにしても、理窟(りくつ)の上では確かにそうなるのに違いないので、つまり月は非常な速さで投げ出されていると見れば、それは地球をぐるぐる(まわ)るけれども、結局それでも地面に届かないということになるのです。

 ともかくこのようにしてニュートンは月の運動を研究して、それを地球上で物の落ちるのと比較し、月が遠方にあるから、それに対する地球の引力は距離の遠いだけ減っているのを見出(みい)だし、その大きさが丁度(ちょうど)距離の二乗に逆比例するということを計算で出したのでした。

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