285話 第一〇、インド洋帰行の部 第二八五、政教の関係に三種あり
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政教子、欧米政教の事情を巡察して、政教の関係に三種あることを発見せり。その第一は国教にして、これ政教混同の主義にもとづくものなり。第二は公認教にして、これ政教混同の主義一変して、政教分離の主義をとるものなり。第三は斉民教にして、これ政教分離の極点に達したるものなり。英国、ロシア等は国教の組織を有する国なり。フランス、オーストリアは公認教の制度を用うる国なり。ひとり米国は国教の組織なく公認教の制度なく、政教は全く分離して、政府中に教部省社寺局のごとき宗教に関する官省なく、僧侶は政府よりこれをみれば、一般の人民と同等なるものなり。ゆえに、この種の関係を斉民教という。公認教は特認教もしくは特待教の義にして、政府がその国の歴史上に縁故あり、その人民中に勢力ある宗教は、これを特別に待遇するをいう。国教は、政府はただにこれを特待するのみならず、これを政府の一部分とし、これを政治の機関とするものなり。ゆえに余曰く、国教は政教一致の極点にあるものなり、斉民教は政教分離の極点にあるものなり。