286話 第一〇、インド洋帰行の部 第二八六、わが国の政教の関係
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人あり問うて曰く、わが国の宗教はこの三種中いずれに属すべきや。政教子曰く、往時にありては、わが神仏二道は国教の組織を有せしといえども、今日にありては、国教にあらず、また斉民教にあらず、いわゆる公認教なり。内務省中に社寺局を置き、各宗に管長を定むる等、みなその公認教たるゆえんなり。しかして、わが国いまだ公認教の名称を置かず、公認教の制度を設けざるのみ。維新以前はわが政府ヤソ教を厳禁し、維新以後はその禁を解くも、なおこれを黙許せるのみにして、いまだ公許するに至らず。しかるに、本年憲法発布ありてより信教自由となりたれば、ヤソ教も公許となれり。もし、これを欧州の制度に比考するときは、信教自由の公達の下には、公認教と非公認教の別を立つること必要なり。すなわち、欧州各国はみな信教の自由を許すも、その国々によりて公認したるものと公認せざるものあり。たとえば仏教その地に入ると想するに、信教自由なれば、その信徒を得ること自由なるべしといえども、その公認の中に加わること難く、その国にて政府が公認教に与うるところと同一の保護待遇を受くることあたわず。これによりてこれをみるに、わが国にても信教自由の今日にありては公認教の制度を設け、ヤソ教は公許したるもいまだ公認せざればこれを非公認教とし、政府がこれを待遇するの方法において、そのすでに公認したるものと異にするところなかるべからず。かつ、ヤソ教はその宗派のなんたるを問わずみな、あるいは外国の支会分局出張にして、あるいは外国の宣教師をいただき、あるいは外国の扶助金を仰ぐがごときは、いまだ日本の宗教と認定すること難し。ゆえに、もしこれを欧州の例に考うるときは、わが国の非公認教となさざるべからず。ゆえに余輩は、政府は早くその制度を設くること必要なりというなり。