49話 第二、米国ならびに大西洋紀行の部 第四九、西洋人必ず日本に来遊すべし
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また問うて曰く、もし洋館を設立すれば、洋人果たして来遊するの目的ありや。政教子曰く、今日わが国には洋館らしき旅店なし。かつ、わが邦人の外国人を処するの方、実に不深切、不信用を極む。しかるに、シナ、インド諸邦にある西洋人の日本に来遊するものは、年々に増加するのみという。ゆえに、もし洋館を諸方に設立し、外人を処するの方を改良するときは、その数一層増加するは言をまたずして明らかなり。
まず、はじめにシナ諸港、ホンコン、インド、その他東洋の諸島にある外国人を引き、つぎにオーストラリア、アメリカの人を引き、つぎに欧州の人を引きて、これをわが国にいたすことを得べし。このことにつき、左の事情を考うるを要す。
すなわち、第一に、西洋人は一般に旅行を好むこと。第二に、日本の物価は西洋より安きをもって旅行しやすきこと。第三に、愉快を得るために旅行するものは中等以上の人にして、資産を有するものなること。第四に、愉快の旅行は商用の旅行と異なり、余分の金を費やし、多数の日限滞在すること。第五に、外国人は日本に遊ぶも、パリやロンドンに遊ぶがごとき愉快を買うことあたわざるも、人には奇を好むの情ありて、すでに一回もしくは二、三回、ロンドン、パリに遊びたるときは、そのつぎは全く異なりたる地方に遊ぶを好むこと。第六に、外国人の日本に来たるもの年々増加するときは、各地方より直接に日本に航海する汽船を設くること、および太平洋の航海日数も乗客の便を計り、大いに短縮するに至るべきこと等これなり。