48話 第二、米国ならびに大西洋紀行の部 第四八、直接および間接の利益
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友人問うて曰く、この方法によりて得るところの利益、あらかじめ知ることを得るや。政教子曰く、その利益に直接と間接の二つあり。直接の利益は、外国人がその滞在中、旅店その他において毎日費やすところのものをいう。仮に毎日平均五百人ありて、一人五円ずつ費やすものと定むるときは、一年に得るところの金、九十一万二千五百円なり。もし毎日平均千人ありて、一人十円ずつ費やすものと定むるときは、毎年得るところ三百六十五万円なり。これ、直接の利益に幾倍せるや知るべからず。
第一に、日本の物産外国に入るときは、海関税のために非常に高価となり、人これを得ること難し。しかるに外国人日本に来たるときは、安価にて買い入るることを得るをもって、その売りさばき方、従前に数倍すること。第二に、外国人の口に適せざる米食、米酒、醤油のごときは、まことに外国人の口に適せざるにあらず、ただその味に慣れざるのみ。ゆえに、もし日本に来たり、その滞在の間一回、二回と重ねてこれを試むるときは、次第にその味に慣れ、帰国の後もこれを用うるに至り、日本の輸出品これより増加すること。第三に、日本従来の遊興技芸(例えば書画、碁、将棋、茶の湯、挿花等)、外国人のいまだその用を知らざるものも、内地に来たりてこれを実見するときは、その風を西洋に伝うるに至ること。第四に、日本の内地の改良すなわち(道路の改良、建築の改良、美術の改良、演戯の改良等)これによりて進むこと。第五に、日本人民、西洋人の風を見て開明の事情を知り、今日喋々せる風俗の改良、自然に実行するを得ること。第六に、西洋人の従来日本は東洋諸国のごとく野蛮の国なりと信ぜしも、ひとたび日本に来たりて日本の事情に通ずるときは、その人民のなすところあるを知り、日本贔負の思想を生ずるに至ること。これ、間接の益なり。