欧米各国 政教日記

91話 第三、英国地方紀行の部 第九一、ユニテリアン宗義

1,043字 約2分 2012年10月21日 公開

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 ヤソ教中ユニテリアン宗は、当時日本に流行するの勢力ありしも、西洋にては最も勢力なき宗旨にして、近年次第にその信徒を失うという。その英国中にあるもの、礼拝堂三百四十五カ所、僧侶三百四十人に過ぎず。けだしその原因は、第一に、高尚に過ぎて通俗に適せず、第二に、自由に過ぎて教会を組織するに難きの理由あるべしといえども、要するに、その教に立つるところの原理正しからざるによる。およそヤソ教は、その原理とするところ三条あり。第一に造物主あること、第二に死後の未来あること、第三にヤソは神子なることこれなり。そのうち、第三条をもって最要点とす。しかるに、ユニテリアン宗この点をとらず。ゆえに、これにヤソ教の名を与うること難し。これ、ヤソ教各宗のその宗義を攻撃するゆえんなり。しかるに、この宗は造物主あるの一条をもって世の学説に付会し、これ学術上の宗教なりと自ら許すは、世の学理を知らざるものを籠絡する好手段なるも、学者の目よりこれをみれば、その説一つも学理に合するところなし。

 およそ神の解釈に二つあり。一つは普性神、一つは特性神なり。特性神は、一種特殊の形質を有し、作用を有し、意想行為を有する最上知、無量寿の体をいう。ヤソ教に立つるところの神これなり。普性神は、特殊の性質、作用、意想を有せざる万物の本体実質をいう。仏教の真如法性というがごとし。今、ユニテリアン宗の説くところの神はやはりこの特性神にして、この特性神は今日の学術の全く許さざるところなり。学術上にて宇宙間に不可思議の一体ありというも、万物の起源本体は知るべからずというも、これ一つとして特性神の存するゆえんを証明せるものにあらず。明日の天気知るべからずというは、決して明日雨あり風ありというの意にあらず。もし、ヤソ教者のごとく学術上、宇宙間に知るべからざる一体ありというを聞きて、その知るべからざるの体は意志を有し、知力を有し、天地を作り、万物を造るというがごとき断言をなすは、あたかも明日の天気知るべからずというを聞きて、明日の天気は雨もあり風もありと断定するに異ならず。ゆえに、ユニテリアン宗が特性神を立つる以上は、学術上の原理に適合することあたわざるは明らかなり。これによりてこれをみるに、ユニテリアン宗は0、一方にありてはヤソ教各宗より、これヤソ教にあらずの攻撃をきたし、一方よりは理学者、哲学者より、これ真理にあらずの駁論を招き、孤軍両敵の間に介立し、四面援声をなすものを見ず。その欧米諸州に振るわざるは誠に理あり。

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