妖怪玄談

41話 第四段 コックリの原因を論ず 第四一節

477字 約1分 2010年9月15日 公開

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 さらに一例を挙げて予期意向の影響を示すに、例えば、かすかに一声を聞きてその声判然せざるとき、これを人語なりと予期して聞けば人語となりて聞こえ、これを禽音(きんいん)なりと予期して聞けば禽音となりて聞こえ、これを水声なりと予期して聞けば水声となりて聞こゆるものなり。鶯声(うぐいすのこえ)を聞きて「法華経(ほけきょう)となく」と思えば「法華経」となりて聞こえ、鵑声(ほととぎすのこえ)を聞きて「不如帰去(ふじょききょ)となく」と思えば「不如帰去」となりて聞こゆるものなり。また、夜中形色の判然せざるものに接すれば、あるいは人のごとく見え、あるいは鬼神のごとく、あるいは幽霊のごとく見えて、わが心に予期するところ異なれば、その形また異なるものなり。俗にいう「足の音に(だま)される」「風の音に騙される」等は、みなこれと同一理なり。しかしてこの理また、コックリの説明を与うることを得るなり。今、これを試むるに当たり、その中に加わりたるもの、特にその実際の回転を予期するときは、そのいまだ判然たる運動を現ぜざるに、すでに多少の運動を現ずるがごとく見え、一寸回転すれば、一尺回転するがごとく見ゆるに至る。これ、大いにコックリの作用を助くるものなり。

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