20話 六月二十七日
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太宰さんと旅をする。
九時三十分の待ち合わせ。奇妙に表に出るとバッタリお逢いする。あなたが、あまり愛しすぎるので、昨日の朝から私はM。黒いスカートに白のブラウスで、御出立も諷爽と東京へ。車中で加納さんにお逢いする。太宰さんのお顔が瞬間赤くなる。丸ビル内の喫茶店で三人談話。駅の前から別れ。京橋でコンテさんに逢い、一時半頃家に帰る。
髪をまとめていると、太宰さんも帰られ、千草へいく。
伏目勝ちのお顔。ポカンとした様なときの美しい横顔。好き!
ポリゴン社からの“お土産があるよ”と戴く。嬉しい一日。
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拝復、日ましに暖かさが加わって、心地よい季節になってまいりました。
かねて父母より御厚情の数々を伺って、ほんとうに、うれしく、失礼ながら書中にて御礼申し上げます。
この間、父からの便りでお姉さまがこのたび熱海に開業なさることを知りまして、御取り込みも、大変なことと、お察し致しておりました。二、三日前お懐しいお便りをいただき、絶えての御無沙汰を御詑び致しますとともに、御返事の遅れましたことを御容赦下さいまし。
父からもおきき及びのことと存じますけど、私の現在は進駐軍関係の仕事と、御引受け致しましたセクレタリーの仕事を持っておりますので、ほんとうに申し訳ないことではございますが、御手伝いさせていただくことができないのでございます。
せめて去年ぐらいでしたら、昔の父母の、御恩返しの何かとして、よろこんで御役に立ったところなのでしたのに、せっかくの御親切を無に致しますようで心苦しいのでございますが、何卒御寛容下さいますよう御願い致します。どうぞ御気を悪くなさいませんように。なおその他のことで御役に立つようなことがございましたら、御利用下さいませ。まずは御返事かたがた御詑びまで申し上げます。
かしこ
(注・雨宮惣兵衛氏長女宛書簡下書き。)