8話 五月十日
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人間は恋愛をするために生きている。
古田先生。とし子さん。先生。私と四人雑魚寝。古田先生、肘で私の横腹を押す。私、そのままグウグウグウ。
一時ごろ寝て、三時ごろ目ざめる。人の家って、ちょっと中々寝られぬものである。まるで山小屋のような軽い気持ちだったのに、とは言うものの、本当は重苦しいもの。信頼しているからいいけれども――。
流石の太宰さんも温和しく高鼾。急迫したような息苦しさと紙一重の、笑いたいような気持ち。何か、心のときめきを覚える夕べであった。
――何事もなく、唯、何事もなきまま、朝を迎えた。
千草の延長が桜井邸に移る。
三十四、五の女画家。殺風景でデカダンス。お話が間が抜けていて、ちょっと草臥れる人である。太宰先生が御一緒なので、彼女はとても上機嫌。
アトリエで、三合位の清酒を、また野原さんから飲まされ、まったくグロッキー。でも気持ちだけは確か。
先生が狸寝入りを始める。
“女のピエロって、可愛いいよ、抱いて寝てみてェなあ――”
“マダム・キュウリーに恋人があったって”
白菊に、温和な、善良そうな娘さんが一人いる。厚化粧ではあるけれども。
“蛇の如く慧く、鳩の如く素直なれ”