雨の玉川心中 01 太宰治との愛と死のノート

8話 五月十日

499字 約1分 2017年6月19日 公開

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 人間は恋愛をするために生きている。

 古田先生。とし子さん。先生。私と四人雑魚寝(ざこね)。古田先生、肘で私の横腹を押す。私、そのままグウグウグウ。

 一時ごろ寝て、三時ごろ目ざめる。人の家って、ちょっと中々寝られぬものである。まるで山小屋のような軽い気持ちだったのに、とは言うものの、本当は重苦しいもの。信頼しているからいいけれども――。

 流石(さすが)の太宰さんも温和(おとな)しく高鼾(たかいびき)。急迫したような息苦しさと紙一重の、笑いたいような気持ち。何か、心のときめきを覚える夕べであった。

 ――何事もなく、唯、何事もなきまま、朝を迎えた。

 千草の延長が桜井邸に移る。

 三十四、五の女画家。殺風景でデカダンス。お話が間が抜けていて、ちょっと草臥(くたび)れる人である。太宰先生が御一緒なので、彼女はとても上機嫌。

 アトリエで、三合位の清酒を、また野原さんから飲まされ、まったくグロッキー。でも気持ちだけは確か。

 先生が狸(たぬき)寝入りを始める。

 “女のピエロって、可愛いいよ、抱いて寝てみてェなあ――”

 “マダム・キュウリーに恋人があったって”

 白菊に、温和な、善良そうな娘さんが一人いる。厚化粧ではあるけれども。

 “蛇の如く慧(さと)く、鳩(はと)の如く素直なれ”

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