7話 十一月
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傳へ言ふ、昔越山の蜥蜴は水を吸つて雹を噴く。時、冬の初にして、槐の鵙は星に叫んで霰を召ぶ。雲暗し、雲暗し、曠野を《さまよ》ふ狩の公子が、獸を照す炬火は、末枯の尾花に落葉の紅の燃ゆるにこそ。行暮れて一夜の宿の嬉しさや、粟炊ぐ手さへ玉に似て、天井の煤は龍の如く、破衾も鳳凰の翼なるべし。夢覺めて絳欄碧軒なし。芭蕉の骨巖の如く、朝霜敷ける池の面に、鴛鴦の眠尚ほ濃なるのみ。戀々として、徊し、漸くにして里に下れば、屋根、廂、時雨の晴間を、ちら/\と晝灯す小き蟲あり、小橋の稚子等の唄ふを聞け。(おほわた)來い、來い、まゝ食はしよ。