愚かな父

2話

326字 約1分 2019年8月28日 公開

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 わたしは都合のわるい時に訪ねて行つて、若い者の何だかチグハグな応対をうけるのを恐れるのだ。一度さういふ事があつた。あの時は(さび)しかつた。

 それで娘に手紙を出して、いつ頃訪ねて行つたらよからうか。又()し今が論文の原稿の真最中ででもあるならば、三四日延してもいゝ。遠慮のない所を云つてくれ。――こんな風にあまり本心でもない文句を強調して書き送つたのだ。多少のひがみもあつた。(ところ)がその返事はどうだらう。――お言葉に甘えて我儘(わがまゝ)を云ふが、今こちらでは、一寸取り込みがある。(しばら)く延ばしてくれ。そのうちに此方(こつち)から午後にでも伺ふ、とかうだ。

 何? 取り込みとは何だらう。娘の方から訪ねて来てくれる事は楽しみだが、取り込みとばかり簡単に書いてあるのはこれが又気にかゝる。

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