2話 二
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わたしは都合のわるい時に訪ねて行つて、若い者の何だかチグハグな応対をうけるのを恐れるのだ。一度さういふ事があつた。あの時は淋しかつた。
それで娘に手紙を出して、いつ頃訪ねて行つたらよからうか。又若し今が論文の原稿の真最中ででもあるならば、三四日延してもいゝ。遠慮のない所を云つてくれ。――こんな風にあまり本心でもない文句を強調して書き送つたのだ。多少のひがみもあつた。処がその返事はどうだらう。――お言葉に甘えて我儘を云ふが、今こちらでは、一寸取り込みがある。暫く延ばしてくれ。そのうちに此方から午後にでも伺ふ、とかうだ。
何? 取り込みとは何だらう。娘の方から訪ねて来てくれる事は楽しみだが、取り込みとばかり簡単に書いてあるのはこれが又気にかゝる。