道

織田 作之助 完結 全1話 8,178字 約16分 2006年4月28日 更新

今もそのアパートはあるだろうか、濡雑巾のようにごちゃごちゃした場末の一角に、それはまるで古綿を千切って捨てたも同然の薄汚れた姿を無気力に曝していた。そのあたりは埋立地のせいか年中じめじめした湿気が去らなかった。日の射さぬ中庭は乾いたためしはなかった。鼠の死骸はいつまでもジクジクし…
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初出 — 「文藝 九月号」1943(昭和18)年9月

底本: 世相・競馬(講談社文芸文庫、講談社) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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