朴の咲く頃

堀 辰雄 完結 全2話 1.5万字 約29分 2004年3月11日 更新

一 あたりはしいんとしていて、ときおり谷のもっと奥から山椒喰のかすかな啼き声が絶え絶えに聞えて来るばかりだった。そんな谷あいの山かげに、他の雑木に雑って、何んの木だか、目立って大きな葉を簇がらせた一本の丈高い木が、その枝ごとに、白く赫かしい花を一輪々々ぽっかりと咲かせていた。………
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初出 — 「文藝春秋」1941(昭和16)年1月号

底本: 幼年時代・晩夏(新潮文庫、新潮社) ※青空文庫の公有作品です。入力・校正は青空文庫の方々によるものです。

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