三たび東方の平和を論ず

6話 六 借款全盛の現況

888字 約2分 2019年4月25日 公開

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 外債は今や支那十八省の間に至る処に行われている。初めは中央のみ借款を為し、地方にはこれを厳禁したのであったが、地方から政費を中央に求めに来るけれども、中央には(もと)より与うべき何物もない。()むを得ずしてついに地方にも借款を許した。即ち政治的借款を除き経済的借款を許した。これが今日地方に大小の借款の鉄道鉱山等諸種の利益を担保として競い起ったゆえんである。その間に西洋の企業家、もしくは資本家、それもことごとく純粋の資本家か、但しはただの鞘取(さやとり)かは知らぬけれども、それらの徒が雑然糾然(きょうぜん)として縦横無尽に働いている。すると(たちま)ち盛んなる競争が起る。多分機敏なる我が国の実業家も加わって働いているであろう。ただその力の微弱なるために大した働きを為し得まい。あるいは外交官等も手伝いをするであろう。其処(そこ)にまたコンミッションが起る。コンミッションは支那が世界に於ける本家かも知れぬ。欧米ではこれを一種の商習慣としているそうだが、支那に於けるこの商習慣からして随分不規律なる莫大なるコンミッションが起る。これは支那人の天性で、(ひと)たび金に()るるや必ずその幾分かを自己のポケットの中に収めずにはおかぬ。これがかの国に於ける最大悪俗である。この悪俗が愈々(いよいよ)養われて、愈々大規模のものとなり、もはや今日に至って、如何(いか)なる智者もこれを()く禁ずる事なしという有様となった。借款はかくの如く支那全土を通じて大賑(おおにぎ)わいであるが、これはたとい支那の国家が土崩瓦解に至るともその大なる富には変化なく、山河と共に(とこし)えに存在するからである。支那の現状はほとんど大なる財産家がその一大宝庫を開いて公衆に分与しつつあるが如き観を呈している。(しか)してこの運動の盛況を来せば来すほど、中央地方の大小官僚がまた多少の利益を得る。従ってまた愈々その盛況を促すという有様だ。かくの如きはほとんど嘘の如く、我等もまたその嘘ならん事を望むけれども、如何(いかん)せん、事実である。あたかも日本にも今一大疑獄が起り醜穢(しゅうかい)耳目(じもく)(おお)わしむるものがあるが、支那はこれが昔からで、他人がそのために如何(どう)なろうとも、国家がそのために如何様(いかよう)な運命に陥ろうとも関知せぬのだ。

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