三たび東方の平和を論ず

5話 五 権力なき政府を如何せん

629字 約1分 2019年4月25日 公開

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 特に文明の政治は最も多く金を要する。即ち税を要する。すれば支那流の税に対する観念と、文明の政治とは到底両立せぬ。ここに於てか従来の支那思想を根底より一掃せなければならぬ。それと同時に政府には大なる権力がなければいけぬ。世界いずれの国民といえども、喜んで税を納むる国民はない。すでに喜ばぬとすれば、徴税には多少強制的の意味がある。即ちこれが中央に絶大なる権力なかるべからざるゆえんである。中央には常に一国の安寧秩序を十分維持するだけの権力が無ければならぬ。もし国民にして税を納めず、これを徴せんとすれば(たちま)ち安寧秩序を乱すという如き場合には、国家は十分なる力を以てこれを威圧せなければならぬ。が、今の民国政府にこの力の認むべきものがあるか。彼等はかくの如き場合に臨むや、(いたずら)に人民に迎合し、その歓心を得るに汲々(きゅうきゅう)たる態度を取る。これ明らかにその権力なきを自証するものだ。大して有効でもないか知らぬが、とにかく彼等は人心収攬(しゅうらん)の手段を取っている。それで税はついに取れぬ。革命後中央に収まる金は僅かに二千万(テール)に過ぎぬ。地方より税を納めずして如何(いか)にして中央が成立つべきか。()むなく借款を仰ぐ。今日の状態は独り(えん)世凱(せいがい)〕政府たるがためのみでなく、袁(ほろ)んで(そん)(ぶん)〕が立とうが、(こう)(こう)〕が立とうが、誰が立とうとも同一である。革命的思想を以て頑固な支那従来の謬想(びゅうそう)を打破せぬ限りは、この現状は幾万世を経るとも変らざるべきである。これが今日支那の国運の日に益々(ますます)(しぼ)まり行くゆえんである。

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